2011年07月26日

肉イタリアン カルネヤ 牛込神楽坂

すずきBさんからお誘いいただいて、小口綾子さん主宰の「肉祭」に参加させてもらった。会場となったのは、人気の「肉イタリアン」カルネヤ。しかし、肉イタリアンとはいったい何だろうか。カルネヤのカルネとは肉のこと。要するにカルネヤとは肉屋のことだ。それが焼肉屋ではなくて、イタリアンだから面白い。当然、普通のイタリアンと違い肉料理が中心になっている。イタリアンであることを忘れるほど、肉への強いこだわりを感じる。店主の実家が精肉店ということで、小さい頃から肉に接している、生粋の目利きなんだと思う。

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和牛レバーのカルパッチョ 

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エゾジカのカルパッチョ 

この日メインの食材は、門崎丑(かんざきうし)。門崎丑は、岩手県産の黒毛和牛。前沢牛の近親種ということで、ポテンシャルは高そうだ。門崎丑は牧場の考え方がしっかりとしている。飼料は牧場の近くでとれたものにこだわり、抗生物質を一切使わない。銀河高原ビールの搾りかすなども配合しているという。肥育日数は長く、自然の中で牛にストレスをかけないようにゆったりと育てられている。こういう牛が旨くないわけがない。最初にブロックが運ばれてきて、一人一人臭いを嗅がせてくれた。4ヶ月ドライエイジングさせたというだけあって、すごい熟成香がする。この香りだけでも赤ワインが飲めそうだ。

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門崎丑のカルネクルーダー 

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ウズラの塩麹漬け焼き 

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ホルモンとパクチー 

男性は1人1本ワインを持参するルールになっていた。僕が選んだのは、ニコラポテルさんのメゾン、ロッシュドベレーヌ2008。これがファーストヴィンテージ。面白いかなと思ったけど、肉に合わせるにはちょっと軽かった。ただ、グラスの中でぐっと落ち着いたのはさすが。これだけフレッシュだと、魚にも合いそうな気がする。今回の料理には正直ハズレだが、魚にも合う赤ワインとして今後も使えそうな気がする。

門崎丑のカルネクルーダーは美味だった。カルネ(肉)、クルーダ(生)なので、生肉ということでいいだろうか。生肉といえば、ユッケやタルタルといった料理が身近だが、大雑把に言うと、結局どちらも同じものだ。タルタルとは、モンゴル帝国の遊牧民タルタル人のことで、彼らが食べていた生肉料理を指している。それと同じ生食文化が朝鮮半島に伝わって、ユッケになった。強大なモンゴル帝国がユーラシア大陸の東西で残した食文化ということで興味深い。

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門崎丑のイチボ・ランプの炭火焼

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熟成肉のカツレツ 

門崎丑のイチボ・ランプの炭火焼。アブラを溶かして、丁寧にアロゼしたもの。アロゼとは、煮汁や脂を食材にかけることで表面の乾燥を防ぎツヤを出す技術。要するにデグラッセなどと同様、煮汁もアブラも無駄にはしないということだろう。断面も美しく、完璧な仕上り。肉に対するこだわりと愛情がこの品にも表れているように思う。熟成肉のカツレツ。このカツレツの熟成香がすごい。この熟成肉をカツレツにしようと思った発想の勝利だろう。

今回のメンバーは、すずきBさんと主催者の小口綾子さん、ラーメン王石神秀幸さんなど、肉好きな人たちが集まった楽しい会だった。「神の舌を持つ男」は「松坂からフォローされている男」でもあることが判明した。今後の展開に密かに期待したい。



■店名:カルネヤ(CARNEYA )
■住所:東京都新宿区南山伏町3-6 市ヶ谷NHビル1F
■電話:03-5228-3611
■営業時間:12:00~15:00(L.O.14:00)、18:00~24:00(L.O.22:00)
■定休日:月曜日


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2011年07月12日

『東京「駅近」居酒屋名店探訪』(東京書籍) 発売!

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『東京「駅近」居酒屋名店探訪』(東京書籍)(税込1,365円)が明後日発売になります。先週印刷を終え、全国に発送されました。7月13日(水)には都内主要書店には並ぶ予定で、少なくとも今週中には全国配本になります。今回の本は、数ある東京の居酒屋の名店の中でも、特に山手線など主要駅の「駅近」居酒屋を取り上げています(山手線は全駅掲載!)。

個人的なテーマや掲載店に関しては、『東京「駅近」居酒屋探訪』(東京書籍)を執筆しますに書いた通りです。居酒屋本の著者としては若手になるので、新しい店の発掘に果敢に挑戦しています。といっても、僕にとってはおなじみの店ばかりで、ブログに書くにしても新しすぎる店を、ブログを飛び越えて先に紹介したりもしています。

居酒屋には流行があって、昔名店といわれた店も、なぜか今では忘れ去られていたりします。そんな中にも、変わらぬ名店がたくさんあります。そういう店を改めて掘り起こすことにも力を注ぎました。大げさに聞こえますが、そういう店は取材を拒否するからメディアに登場しなくなっているケースがほとんど。今回も多くの店に断られましたが、一部の店からは「君が書くならいいよ」と特別に許可をもらったりもしました。さらに、未だメディアにも出ていない店(でも既に人気店!)もいくつか取材をしました。

僕は主に山の手線内の店を中心に取り上げました。居酒屋本に登場する店は、下町のいわゆる安居酒屋が中心になることが多いものです。「これからの居酒屋本は違う」ということが、僕のセレクトを見れば分かっていただけると思います。高級感のある大衆店、女性にも安心して勧められる店であることも考慮して選んだつもりです。酒にも料理にも間違いのない店を選んだ結果、ミシュランガイド掲載店も2店入りました。

執筆者は、ナビゲーターとして人気ブログ「居酒屋礼賛」の浜田信郎氏、築地王小関敦之氏、「酔わせて下町」・読売新聞土曜夕刊「ぶらり食記」などを連載されている居酒屋ライター藤原法仁氏、それと僕の4名です。今回は藤原さんと僕が主力で書かせてもらいました。藤原さんは、今話題のスカイツリー周辺の駅近居酒屋を網羅し、ホッピーや梅シロップ、ホイスなどの変わった飲み物についての記事や、様々なカウンター形状についての考察など、マニアックなコラムが用意されています。居酒屋マニアを自称する方々にも参考になる部分が多いのではないでしょうか。

昨日、1冊手元に届きました。全ページカラーで、紙はサラリと薄く持ち歩きできる重さです。白を基調にしたデザインは、居酒屋本とは思えないほどオシャレに仕上がっています。マニアにも初心者にも楽しめる本になっていると思います。この本を片手に居酒屋デビューしてみては如何でしょうか。

■東京 「駅近」居酒屋名店探訪
■浜田信郎 ・ くにろく ・ 小関敦之 ・ 藤原法仁 著
■定価:1,365円(本体 1,300円)
■発売年月:2011.07.14
■体裁:四六変型判 並製 160頁


2011年07月06日

中国薬膳料理 星福 銀座

銀座にお気に入りの中国料理店がある。値段はそこそこだが、料理の質が高くコスパがいい。そしてなにより体にいい。中国薬膳料理 星福(しんふう)のレシピは、薬膳アドバイザーが監修したという。オーナーは上海出身。東大から大手企業に入社し、その後、星福のオーナーになった。広東料理をベースとした質の高い薬膳中国料理を供している。「季節の薬膳コース」は4種類あり、それぞれ、星7,350円、福10,500円、天12,600円、仁15,750円。1日5組限定で、星コースが5,250円という特別割引だったので、久々に訪問することにした。星福の料理を食べると、体が温まる。今の時期なら汗だくになるほど、体の芯から温まる。

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最初に運ばれてくるのは、特製薬膳前菜三品の盛り合わせ。真ん中は、金針菜(きんしんさい)、黒木耳(くろきくらげ)、麩(ふ)。右側の麺のように見えるのは、干した豆腐を切って高菜で合えたもの。チャーシューは甘めの味付け。簡単な3品だが、安定感がある。まずはこの盛り合わせで、浮ついた気分がキュッと締るような気がした。

白身魚と山くらげの黒酢炒めは、黒酢がきいて、甘味と酸味のバランスがいい。冬瓜、蓮の実入り季節の薬膳蒸しスープは、ナツメ、冬瓜、山芋、蓮の実、豚肉などが入ったスープ。食べるほどに汗が吹き出てくる。あっという間に体全身が温まった。東洋医学では、体を温めることが最も重要だという。食物も身体を温めるものと冷やすものに分類され、例えば体を冷やす蟹を食べる時には、体を温める生姜湯を一緒に飲むというように、食べ合わせに細かく気を使っている。このスープは、3品目にしてメインの風格がある。そして食後まで体がぽかぽかでいられるのは、このスープのおかげだと思う。オリジナルの薬膳酒やお茶も種類が多く、メニューには効能についても詳しく説明されている。風邪気味な人、ストレスのある人、胃腸の弱い人、それぞれ自分に合った酒や茶を選択できる。

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帆立とアボカドの海苔巻き揚げは、噛むと香ばしい香りが口内に広がる。ほんのり温かいのも嬉しい。いつも思うことだが、星福はコースの組立てがいい。料理を出す順番がよく練られていると思う。一品一品が強い個性を持ち、しかもそれらが組み合わされて、効果が倍増しているようだ。

陳皮入り車海老のにんにく味噌蒸しが運ばれてきた。「鹿の角が入っています。このスライスされているものがそれですね」。はじめて見る人だが、丁寧で安定感のあるサービスをしてくれる。最近、星福がよくなったところは、内装とサービス。この2つは料理とは不釣合いなほどのレベルだった。それが今回、久々に来てみると、清潔感のある内装と、しっかりとしたサービスで迎えてくれた。これだけでも店の印象は格段と上がる。車海老はニンニクと味噌と油が絡まり、マイルドな食感になっている。海老の切り方もいい。薄く縦にスライスされ、身を外しやすくなっている。これをニンニクの海にたっぷりと泳がせ、そのまま口の中に放る。これはうまい。今年のベスト1皿の候補になりそうなほど気に入った。

苦瓜と和豚の黒豆鼓炒めは、豚と黒豆がよく合う。中国料理の油物のうまさを実感できる一品。中国料理には火を加えた料理の名前が多い。炒(チャー)は「炒める」という意味だが、油は少なめで短時間炒める場合に使う言葉。爆(バオ)といえば、「炒」よりもさらに強火になる。両面を焼く場合は、煎(ジェン)と言うなど、細かく使い分ける。言葉が多いということは、それだけ奥深く、様々なテクニックがあるということだろう。ここで菊の花のお茶が運ばれてきた。たっぷりと5~6杯分はある。こういうところでケチらないから、この店は気分がいい。

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シメは2種類。ナズナ入りお粥または、ねぎつゆそばを選ぶことができる。ねぎつゆそばは、スープがうまい。運ばれてきた時、いい香りが周囲に広がった。ネギとハムを炒めた香りだろうか。麺は細麺でごわごわとした硬めの仕上がり。このバランスは何なんだろう。主役はやはりスープだと思う。こういうものをラーメン好きの人に食べてもらって、感想を聞いてみたい。行列を作るには、油が足りないだろう。塩味で輪郭をはっきりさせる必要もある。ただ、コースのシメの麺としては、このくらいが適当ではないだろうか。

お粥は薄味でやさしい味。薬膳らしく胃に負担をかけない。こちらの方が穏やかに食事を終えることができる。デザートは、杏仁豆腐。最近、胃が小さくなったのか、「もういらない!」というほど満足した。量は多くはないが、少しずつちょうどいい時間で出されるので、たっぷり食べたという気になる。そして汗を拭き拭き、店を後にした。外は少し冷たい風が吹いていて、心地がいい。電車の中でボタンを外さなければいけないほど、いつまでも体が冷えなかった。お酒は2杯しか飲んでいない。中国薬膳料理とはこういうものなのだろうか。 ひきかけの風邪が一気に吹き飛んだような気がした。



■店名:中国薬膳料理 星福(シンフウ)
■住所:東京都中央区銀座6-9-9 かねまつビル6F
■電話:03-3289-4245
■営業時間:11:00~15:00(L.O.14:30)、17:30~22:00(L.O.21:00)、 土・日・祝11:00~20:30(L.O.20:00) 
■定休日:無休


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