駒どり 英彦山

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小さい頃、夏休みになると実家に親戚が遊びに来た。家で遊ぶことに飽きると、どこかに出掛けようという話になるのだが、そんな時は近場の英彦山に遊びに行くことが多かった。英彦山といえば、昔は日本三大修験山(吉野・熊野・英彦山)のひとつに数えられた修験道の山。彦山に「英」の字をつけて呼ばれるほど尊ばれた。僕にとって英彦山は、子供の頃、石段を休みなく登った厳しい思い出と、夏休みに近くを流れる英彦山川で川遊びをしたり、ホタルを見に行ったりした楽しい思い出がある。大きくなってからは、駅前(といっても彦山駅という山の中にある小さな駅)にある「英彦山食堂」で食べた、鮎やヤマメの塩焼き、鯉こく、鯉のあらいなどが思い出される。英彦山食堂は店の裏側が絶壁になっていて、下に英彦山川が流れる。鮎が足りなくなると、「ちょっと釣ってくるから待っててね」と、ご主人が川に下りて行って2~3匹釣ってきて塩焼きにするというようなことをほんとうにやっていた。
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兄の家族と一緒に、久々に英彦山を登ってみた。中腹にある奉幣殿まではロープウエーで登ることができる。昔はここまで歩いて登ったので、奉幣殿といえばほんとに中腹という感じだった。池の中にはニジマスがいた。普通は鯉か何かがいるものだが、亀と一緒にニジマスが泳ぐ姿は不思議な感覚だ。英彦山の上宮は標高1,200mのところにある。奉幣殿から先が本格的な山登りになる。神武天皇の東征の折、東征を図ったのがいまの奉幣殿、天忍穂耳命(アメノオシホミミ)を祭ったのが上宮だと、古事記にも記されているという。そのくらい古くから知られた山だった。
僕らは上宮は目指さず、鬼杉に向かう山道に入った。鬼杉というのは、樹齢1,250年といわれる根回りが14mもある大木だ。山道は歩きやすく、散歩にはちょうどよかった。ところどころ小川が流れていて、山道なのに沢蟹が歩いているという奇妙な道だった。道は徐々に険しさを増し、アップダウンが激しくなってきた。ちょうど疲れてきたころ、山の斜面を登りきったところに標識が立っていた。奉幣殿からは0.9km、ここから鬼杉はあと1.8kmもある。これほど歩いてまだ1kmにも満たないとは。この標識を見て、力尽きる思いがした。黙ってついてきた子供たちも、そろそろ限界の様子。ここで引き返して、食事に行くことにした。
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僕のリクエストはもちろん英彦山食堂。ところが兄によると、昔よく行っていたのは、その隣にある「駒どり」だという。どちらも似たような雰囲気の店で、2軒並んでいるから紛らわしい。というか、どちらでもさほど変わらないような気もする。要は、鯉こくや、せごし、あらいなどが食べれればどこでもいい。やまめ定食(竹)(1,350円)は、やまめ塩焼き、とうふ、鯉汁、ご飯のセット。これに刺身をつけると、松(2,050円)になる。
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面白いのは、うなぎ丼(1,400円)だった。タレで真っ黒になったご飯に、うなぎがたっぷりと載っている。こんなところで、こんなジャンクな丼を食べることになるとは考えもしなかった。なんでも注文してみるものだ。
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鬼杉を見ることはできなかったが、後日、行者杉と呼ばれる英彦山にある巨木群を見に行った。樹齢が600年にもなる巨大な杉が並んでいる。昔、英彦山で修験道が盛んだった頃、修験者が入山するときに杉の穂を植える習わしがあったという。その杉が育ったのが今の行者杉。鬼杉とくらべると大きさはずいぶん違うが、それでもものすごい迫力があった。今度帰ったら、本格的な山登りの用意をして、鬼杉を見に行こうと思う。

■店名:やまめ・鯉料理 駒どり
■住所:田川郡添田町大字落合804
■電話:0947-85-0745
■営業時間:10:00~1900
■定休日:水曜日

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