2014年02月14日

焼き貝あぶさん 高円寺

貝の刺身
貝の刺身

昨年もご一緒一緒させていただいたWさんに誘われて高円寺にやってきた。中央線は呑兵衛にとってはとても魅力的な街が多い。中野、高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪。今まであまり探索しないできたが、印象深い街ばかりだ。僕の家からは遠いのでなかなか足が向かないが、この沿線に住んでいたら間違いなく毎日飲んで帰っていたと思う。

改札の前でWさんとKさんと待ち合わせをした。Wさんとお会いするのは2度目だが、Kさんとは実は何度もお会いしている。お二人が知り合いだというのを知って、今回はKさんもお誘いしようということになったのだ。

高円寺北口のロータリーを渡る信号待ちをしている時、Wさんがおそるおそる話し掛けてきた。「くにさん、貝って大丈夫ですよね?」。大丈夫などころではない。もちろん大好きだ。Wさんが予約してくれた店のことはまだ聞いていなかったが、この時「いやあ、貝はちょっと苦手なんですよ」なんて反応をしていたら、この日のイベントは序盤からズッコケていただろう。なにしろ予約してくれていたのは、夜な夜な貝好きが集まることで有名な店なのだ

高円寺北口のロータリーの道をまっすぐに進み、突き当りで左に曲がる。1本隣の通りは「庚申通り商店街」という商店街になっている。いくつか飲食店はあるものの、電気屋さんや金物屋さんなど生活に根差した店が多い。どこにでもあるような商店街だが、人通りと店の多さは普通ではない。高円寺は新宿から4駅、10分足らずの位置にあるのだから、当然と言えば当然なのかもしれない。庚申通り商店街をしばらく歩くと、やがて右側に小さな庚申塚が見えた。この庚申塚が名前の由来なのだろう。目的地はこのすぐ近くだ。早稲田通りにぶつかる少し手前の路地裏に「焼貝あぶさん」の提灯が下がっていた。

お通し
お通し

白貝
白貝

マテ貝
マテ貝

縄暖簾は三分の一ほど持ち上げてあって、外から中の様子を見ることができた。1階は小さくて狭いカウンター席だが、雰囲気はよさそうだ。猛烈にカウンターに惹きつけられたが、この日は2階を予約してくれていた。店の右端に階段があって、2階まで一直線に伸びている。特に下足入れらしきものはなく、下から2段目あたりのところに男性の靴がきちんと揃えて置いてあった。Wさんが「そういうルールのようですね」と言って、その一つ上の段に靴を置いて上がって行った。ルールなのかどうか分からないが、他に靴を置く場所がないのは間違いなさそうだ。

2階は小さな和室になっていた。まず目に入ったのは正面にある巨大な黒板だ。そこに「本日の貝」と書かれて、平貝(愛知)、白貝(北海道)、ツノ貝(青森)、サザエ(長崎)などと全部で11種類の貝の産地が書かれていた。テーブルが2つあって、奥の席には先客がいる。我々の席は手前のテーブルだ。

注文を決めるまでの間、とりあえずビールを飲んでおくことにした。ジョッキには「酒の一滴は血の一滴」と書かれてある。「わかるねー」とか「おもしろいね」とか言いつつ、ビールはあっという間になくなった。小さな2階建ての一軒家なので、店員さんは1階と2階を行ったり来たりしている。何回目かの往復でようやく注文することになった。

メニューには単品もいろいろとあるが、コースや盛り合せもいくつか用意されている。貝料理おまかせコース、おまかせ貝焼盛り合せ、おまかせ活貝盛り合せなどオススメをセットにしてくれているのはありがたい。予約制のアワビづくしコース18,000円なんてものまである。お店の人に相談しておまかせ貝焼盛り合せを注文した。3品1,800円、5品3,800円、8品5,800円となっているが、3品でいいだろう。貝甘辛・貝なめろう・貝チャンジャは各480円。これもお願いすることにした。貝の出汁を使った、出汁巻き玉子600円はビールにもよく合う。茶碗蒸しなども貝の出汁を使っているそうだ。とにかく貝、貝、貝。このこだわりがいい。

刺身は、平貝、赤貝、ミル貝の盛り合せ。醤油は長崎の醤油を使っているらしい。北海道の白貝、長崎のマテ貝、そしてホッキ貝の酒盗あえが運ばれてくる。料理は当然貝ばかりだが、種類が多いので全く飽きることがない。

ホッキ貝の酒盗あえ
ホッキ貝の酒盗あえ

出汁巻き玉子
出汁巻き玉子

井戸
井戸

これだけ貝づくしだと、日本酒も飲みたくなってくる。あぶさんは日本酒もいいものが揃っている。すべて800円で天明、旭興生もと、英君、亀齢、出雲富士無濾過生、あざくらの中どり、中屋、信濃鶴などがあった。お店の人にお願いして、頼んだメニューに合わせておすすめの日本酒を選んでもらった。3人で3合ほどぬる燗でいただいた。

いろいろな貝があって、いろいろな料理がある。そしてどれも日本酒に合う。やはり貝に着目したのがよかったのだと思う。これほど酒飲みの心をつかむ店も珍しいものだ。

あぶさんのご主人は北千住のあすかで修業したという。そして7年前、高円寺にあぶさんを出した。今では、焼き貝うぐいす鶯谷、恵比寿あこやなど支店もいくつかあるそうだ。あぶさんの目の前の路地を奥まで行くと、右側にトイレがある。ちょうど突き当たったところには、井戸があって、手動で井戸水をくみ上げることができる。ここで手を洗って次の店に向かった。高円寺の夜はまだ始まったばかりだ。


■店名:焼き貝 あぶさん
■住所:東京都杉並区高円寺北2-38-15
■電話:03-3330-6855
■営業時間:17:30~翌3:00
■定休日:不定休

大きな地図で見る


トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://kuniroku.com/mt/mt-tb.cgi/1033

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)