三島由紀夫をはじめ多くの作家や芸術家が通った店「どん底」。店名はゴーリキーの「どん底」からとっている。戦後すぐの1951年創業。
少し入口で待たされてから一階のカウンターに通された。席に着くと隣のおじさんが「おっ、君か。君が来たのか。いやあ、よろしく」と言う。どこかで会ったのか、誰かの友達か。なんとか思い出そうとしたがどうしても思い出せない。ゆっくりと上着を脱いで後ろに掛けて、椅子に座る。「僕ですみませんでしたね」というと、「そう、それそれ!なんで分かったの?実はさっきまでその席には美女が座っていたんだよ」。その美女は席を移動してくれたらしく、L字カウンターの反対側で彼と二人で会釈をしている。たぶん席を空ける時にいろいろとやりとりがあったのだろう。
カウンターは地下や二階にもあるが、それぞれなかなかいい雰囲気だ。常連さんは上に下にと移動して飲んだりしている。僕の隣のおじさんも、途中で他のフロアに移動した。おじさんの連れの人は隣でまだ飲んでいるが、さっきのカップルや僕と時々会話を交わす。初めて会う人でもなんとなく打ち解ける。そんな雰囲気の店なのだ。
創業当時から人気の名物「どん底カクテル」。焼酎をレモンや炭酸で割ったチューハイだ。正確なレシピは秘密だそうで、できあがったものがボトルになっている。略して「ドンカク」。これは酔っ払ってしまうなあ。
林さんのみ(牛肉とキャベツのウスターソース炒め)。「林さんのライス」というのがあるのだが、その「林さんのみ」。
自家製厚切りチャーシュー
お通し
ナポリタン
どん底カクテル。略して「ドンカク」
どん底 新宿
■店名:どん底
■住所:東京都新宿区新宿3-10-2
■電話:03-3354-7749