新型コロナウイルスの影響でしばらくは過去記事です。青山学院大学の近くにある「蔦珈琲店」。1988年開店ということなので、今年32年目になる。蔦が絡んだ一軒家は建築家山田守氏の自邸だった建物。この邸宅の一部を借りて珈琲店をはじめたのが32年前ということになる。山田守氏は巨匠というほどではないかも知れないが、「京都タワービル」や「日本武道館」など誰もが知る建物を複数設計した有名建築家だ。
蔦珈琲店はこの建物をうまく活かした雰囲気の良い店。テーブル席は大きな全面ガラスを通して、手入れされた庭を眺めることができる。庭は本当に素晴らしくて、いつまでもボーっと眺めていたくなるほどだ。店内はクラシックがかかっていて、お客さんは静かに本を読みながらコーヒーを楽しんでいる。お店のHPには、「南青山の一角にある、珈琲と、庭、そして無駄話を楽しむ喫茶店、蔦珈琲店」と書かれているが、まさにそんな店になっている。この店は雰囲気が素晴らしい。お客さんはこの雰囲気を崩さないように静かに過ごしている。自然体で誰もが気を遣ってくれているのだ。ご主人が適度に放っておいてくれるのもありがたい。これほど店主の望む通りの店になるのは珍しいことだ。様々な工夫とご主人の人柄に負うところが大きいように思う。
「クロックムッシュセット」(1300円)
「カレーライスセット」(1300円)
コーヒーは「ブラジル」のみ。これをネルドリップで淹れる。ブラジルでもサントスNo.2の19番のみを使用する。No.2は生豆の等級を表していて、ブラジルではNo.2が最上級で、No.8までランク付けしている。コーヒー豆300g中の欠点豆の数で等級が分かれる。欠点豆ゼロはありえないということで、No.1は存在せずNo.2が最上級になっている。19番というのはスクリーンのことで、スクリーンは12~20まであり数字が大きいほど豆のサイズが大きい。ということで、蔦珈琲店で使っているNo.2の19番の豆は最上級で大粒の豆ということだ。
「カレーライスセット」(1300円)と「クロックムッシュセット」(1300円)をお願いした。カレーは毎朝煮込んでいるらしく、かなり美味しい。クロックムッシュセットはレタスとクレソンのボリュームに圧倒される。これにオレンジとなぜかヤクルトも付いている。コーヒー単体であれば、「コーヒー」(700円)、おかわりは安くなって、「コーヒー二杯目から」(350円)というのがある。酒場ではないが、ビール、ワイン、ウイスキーなどもあり、ご主人の柔軟な姿勢が伺える。ちなみにビールはハートランド、ウイスキーはヴァランタインだそうだ。知る人ぞ知る名店「蔦珈琲店」。何度も通いたくなる店だ。
■店名:蔦珈琲店
■住所:東京都港区南青山5-11-20
■電話:03-3498-6888