2009年04月24日

すきやばし次郎 銀座

寿司の最高峰と言われる「すきやばし次郎」。ミシュランでも当たり前のように三ツ星を獲得しているこの店の寿司は、どのようなものなのでしょう。メニューは基本的に「おまかせ」のみ。予約時に「コースのみで30,000円、カードは使えませんがよろしいですか?」と確認されました。刺身など追加で注文することはできます。

これだけの高級店にもかかわらず、少なくとも2ヶ月間は予約でいっぱいという状況でした。その月の空きは、平日の開店時17:00のみ。ちょうど用事で会社を午後半休する予定があったので、その日に行くことにしました。

開店時間よりもずいぶん前に到着。とりあえず同じフロアにあるバードランドの長イスに座らせてもらって、待つことにしました。すきやばし次郎の入口は開け放たれ、仕込みを終えた二郎さんが座ってくつろいでいるのが見えます。二郎さんが厨房入りしたので、開店5分前にお店を覗き「よろしいですか?」と声を掛けて入店します。

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すきやばし次郎の小野二郎さんは、当代一の寿司職人と言われています。もうかなりのご高齢ということで、今のうちに握ってもらおうと、多少無理しての訪問でした。でも二郎さんはまだまだ元気いっぱい。もう80歳になるのに、そんなことは微塵も感じさせません。腰がしっかりとしているのが印象的で、リズミカルに寿司を握っていました。

寿司は出されたらすぐに食べるのが基本。今回は寿司だけに集中したいので、写真撮影はなし。お酒もやめておいて、お茶のみで寿司を味わうことにしました。コースはたった20個。次々と出される寿司をテンポよく食べます。はじめの10個食べ終えたところで10分ちょっとというハイペース。このままでは折角のすきやばし次郎が20分で終わってしまいます。後半は少しペースが落ちたものの、他のお客さんと比べ、僕らは明らかにハイペースでした。

高額な支払いについては、普通に考えると不当に高いわけですが、二郎さんに握ってもらえるということを考えると、納得がいきます。「満席」といいつつも、席は空いています。この日は僕らを入れて、時間差で4組だけです。席が空いていても、対応できる人数はこれが限界なのでしょう。客を大切にする姿勢の現れだと思います。

お茶だけで、出されたものをすぐに食べるという繰り返し。寿司はどれも宝石のように美しい。寿司の一個一個がコースの一品一品のように感じます。寿司はやはり順番も大事。様々な味や食感を考慮されて組まれたコースのようです。飽きの来ないように、単調にならないようによく考えられていると思います。

そんな中でも、前半の「あかみ」「ちゅうとろ」「おおとろ」のマグロ3連続は圧巻。自慢のネタをわざと3つ並べています。穏やかな二郎さんのイメージに似合わない、グイグイと力で押して来るような印象。こういう構成ができるくらいにまだまだ気力があるし、寿司に対する自信も相当なものなのでしょう。その後に出てくる酸味の強いキツめのこはだで、マグロの脂っこさがサッパリとします。このへんは前半の山場。非常に強気の構成で、前半は「やられた」という感じでした。

中盤は微妙な温度差で握られた、個性的なネタが続きます。その中でも白眉はくるまえび。特大のくるまえびは、一口で食べれないので真ん中から二つに切って出されます。寿司をシャリごとスッパリと半分に切る。しかも全く崩れていません。前半はポンポンと調子よく食べましたが、終盤はややペースダウン。うに、こばしら、いくらと軍艦巻きが続きます。そして大好きなあなご、しっとりと香ばしい個性的なたまごでシメます。

すきやばし次郎で印象に残ったのは店内が非常に清潔なところ。店内は魚や酢の匂いが全くしません。二郎さんはネタに包丁を入れるたびに必ず包丁を拭きます。一つ一つの動作が店内を清潔に保っているように窺えます。一度厨房に移動した時はどうしたのかと思いましたが、咳を一つして、手を洗って戻ってきました。徹底した潔癖が気負いなく自然なところが見ていて気持ちいい。

二郎さんのおすすめ順に食べることができるのも、すきやばし次郎の魅力の一つです。寿司は食べる順番も大事。でも一見さんが注文する順を上手く考えられるわけはありません。寿司屋でお好みで食べる難しさはそういうところにもあります。結局、追加のかんぴょう巻きまで含め、全て二郎さんに握ってもらえました。噂では二郎さんは全部は握らないということだったので、この日は運がよかったようです。

【本日のおまかせ】
かれい、(すみいか)、あおりいか、しまあじ、(いなだ)、(かんぱち)、あかみ、ちゅうとろ、おおとろ、こはだ、あわび、(はまぐり)、あじ、くるまえび、かつお、しゃこ、(はまぐり)、とりがい、(いわし)、あかがい,
うに、こばしら、いくら、あなご、たまご
※( )は鉛筆で消されていました。

■店名:すきやばし次郎
■住所:東京都中央区銀座4-2-15 塚本ビル B1F
■電話:03-3535-3600
■営業時間:11:30~14:00、17:00~20:30、土曜日11:30~14:00
■定休日:日曜・祝日
2008.06.11

東京都中央区銀座4-2-15


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コメント

改めて読みました。
一度は食べてみたい
でも、やっぱ高っ!

◆じくさん
確かに高いですよね。逆算すると追加のかんぴょう巻きだけで8,000円くらいです。それでも一度は食べておきたい寿司だと思います。

次郎のコメント拝読。一つだけ意見を。
「鮨は食べる順番が大事。そこがお好みで食べるときの難しさ」。。。とのことですが、私見では、食べる順番なんてまったくこだわっていません。順番うんぬんは山本益博さんが言い出したことですが、(そしてそれに次郎さんが乗っかった?)昔通い詰めた神保町鶴八の師岡幸夫親方(引退)に聞いたところ、一笑に付されました。「何でも好きなものから召し上がればいいんですよ」と。「格式張った食べ物ではありませんから」、とのことでした。事実、次郎が星ランキングされる前、何度も伺いましたが何から食べても何も言われませんでした。(もっとも握ってくれた職人さんは、水谷さんが多かったですが)当たり前の話、鮨は言ってみれば気楽な食べ物のはずです。近頃値段がやたら高くなりましたが、そうはいっても順番があるというほどの食べ物ではない、と思っています。

◆ingo uncleさん
コメントありがとうございます。僕も寿司は食べたい順に食べればいいと思っています。鶴八の親方のお話もそのとおりだと思います。

ただ、次郎の寿司を食べたときの感動のひとつは出される順番にあるのも確かです。素直に「順番って大切なんだな」と次郎で学びました。山本益博さんがどうとか僕には関心ないです。そういう影響はまったくなくて、小さい頃から「次に何を食べようか」と考えるのが寿司の楽しみでした。

寿司は気楽なのがいいですよね。予約しなくてもちょっと寄って帰れるくらいの感じがいいです。僕も自宅近くにそういう寿司屋が2軒ほどあります。僕の場合、カウンターに座ってすぐ今日のオススメのネタとかを聞いて、まずはそのへんからはじめます。そういう意味では順番は何でもアリですが、大トロみたいな脂の多いものや、アナゴとかコハダのようなネタの前後は少し気を遣います。食にこだわる人にとって、寿司に限らずそういう配慮はあるものではないでしょうか。

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