ジョエル・ロブション 恵比寿

フレンチ

昨年も10月に訪問したジョエル・ロブション。今年も同じ時期に行くことにしました。前回はロブションのあまりの凄さに唸るほど感心しました。絶対に間違いのない店ということで、今年もロブションにしたのですが、残念ながら前回ほどの感動はありません。スペシャリテなど、メニューの多くが昨年と同じで、新鮮味がなかった。更に、昨年から入れ替わった皿にインパクトがない。クオリティの高さは相変わらずですが、期待が大きい分、新鮮な驚きがないと物足りなく感じてしまいます。
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まずはスペシャリテから。ロブションブランドのキャビア缶、特選生ウニ3変化(コーヒーの香るロブション風ピュレと共に、桜エビの香るフランとフヌイユのベルーテ、自家製海藻塩でマリネしてからキュウリと大根のロールにのせて)。キャビア缶は相変わらずおいしい。昨年と同じですが、これはお約束として毎回あってもいいですね。生ウニ3変化も昨年と全く同じ。ウニにはいろんな可能性があります。この組合せが最高で、変えることが出来ないとまでは思えません。別の3変化を考えて欲しかった。
卵 卵黄のみをほうれん草と共にラヴィオリにし、茨城県産椎茸を添えて。これも同じですね。さすがに1年に1回はメニューが変わっていると思って訪問したのに、この時点でがっかりしました。はじめて食べたときは、もの珍しさもあって、自分の舌が曇っていたのでしょう。ただ今年はそんな驚きはありません。昨年の味も記憶しているので、細かいところが見えやすくなっていました。
レストランは、客が騙されに行く場所だと思います。昨年は、美しい器や、意外な組合せなどに完全に騙されました。前回と同じものを出すというのは、ある意味冒険ですね。タネのばれた手品をする時のように、知っていても驚かすことができるような工夫が必要です。その工夫がないのは、このクラスのレストランでは手抜きと言われても仕方がないかも知れません。それも最初の3品が同じですから。夢の世界に誘うべき序盤で、これは上手くないと思いました。そんなに固執するほどの絶品でもないので、時々変えて欲しいところです。
スペシャリテは変えずに毎回出さないといけない、という考えも分かります。昨年おいしかったから今年も来ているわけで、勝手に次々とメニュー変えられては、客と店とのコンセンサスなんてなくなってしまいます。食べたことのある料理からはじめることで、気持ちを落ち着かせる効果もあります。ただ、3品はいらない。キャビア缶を食べて、「ああ、ロブションに来たなあ」と感じてもらえば十分ではないでしょうか。
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岩手産活ホタテ貝 ミ・キュイにポワレし カルヴァドスの香るコライユとりんごのクーリ、そば粉のフィヤンティーヌと共に。これは昨年と同じホタテ貝。ただ食材の質は上がっているようです。ホタテはかなり小さくなりましたが、大きさはちょうどいいと思いました。
ゴルゴンゾーラピカンテ ロワイヤル仕立てにし、セージの香るポワールとトマトコンフィをのせて。昨年と同じ美しい器。これもおいしいけど、昨年も同じものを食べました。
カサゴ ひよこ豆の粉でカリッとペニエにし、イカスミのエッセンスとパエリアのブイヨンを添えて。ようやく新しいメニューが登場。「・・・最後にブイヨンを口に含むと、口の中でパエリアが出来る」という説明を受けます。口の中で食材が混ざって、パエリアの味と錯覚する・・。ははあ、このへんで中休みということで用意された息抜きだな、と思いました。「こんなのやってみました」という遊び。茶目っ気があります。パンを持ってきた店員さんに、「これ、ロブションぽくないですよね?」みたいなことを言って、探りを入れてみました。すると、非常にまじめな答えが返ってきた。どうやら冗談ではないようです。これはロブション氏が考えたのでしょうか。この皿については、未だに意図がよく分かりません。
特選和牛 グリエにし、旬野菜のバリエーションと天城産ワサビの香るホウレン草のソテーと共に。昨年よりも脂が多い気がするのは、個体差でしょうか。カットは昨年と同様。添えられた野菜に変化が見られるものの、衣揚げやワサビは昨年と同じ。これでは年に1回行っても楽しめません。ミシュランの調査員は、三つ星店に年数回訪問するそうですが、もう飽きているでしょうね。やっぱりアラカルトでないとダメなんでしょうか。
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大豆の色々な変化をテーマとしたパールパスタのカルボナーラ仕立て。三つ星フレンチでパスタが登場。
柑橘類のグラニテ ジャスミンの香りと共に。ポワール クーリーを忍ばせたピスタチオのブリュレ、わらび餅とマリネを添えて。ここからデセールに突入します。
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カフェとミニャルディーズ。ワゴンが登場します。と書くとすぐに出てきたようですが、コーヒー2杯分待たされました。忘れられていたのでしょうか。帰ろうかどうしようか相談している頃、ワゴンがやってきました。カヌレ、キャラメル、カルバドスのチョコなどをチョイス。
ロブションがすごいなと思うのは、三つ星のボーダーラインを心得ていて、その少し上でレベリングされているところ。どの料理も革新的、どの料理も驚くほどおいしい、ということではなく、適度に新しく、安定感があり、しかもおいしい。ちょっとした遊びも忘れません。非常にクレバーな組立で、「どお?三つ星でしょ?」と訴えかけてくるような料理。皿を介して会話してくるような、そんな印象がありました、昨年は。
今回はサービス面でも気になる部分がありました。テーブルの間隔は場所によって狭いように感じました。前回のように完璧な配置ではありません。それと、途中で厨房からお店の方が出てきたのですが、知り合いが食べに来ていたようで、二人で談笑していました。もうデセールの時間だから料理には支障はないんでしょうけど、ちょっと気になりました。ジョエル・ロブションのようなレストランでは、記念日などの特別な時間を過ごしたいお客さんが多く訪れます。あの立ち話を聞いて、隣のカップルは、早めに現実に引き戻されたのではないでしょうか。ガニエールのように、全てのテーブルを回って挨拶しろとまでは言いませんが、もう少し手短に済ませて欲しかった。
ジョエル・ロブションでは、帰りにお土産を受け取って帰ります。お土産の内容は、コースによって違うようです。我々は金額で言うと、ちょうど真ん中のコースでした。帰ろうとした時、お店の方が「すみません」と言って、一旦渡されたお土産の中から何かが取り出されました。あまり気分のいいことではありません。チョコレート一箱くらいあげてしまおうという発想にはならなかったのでしょうか。残念です。あまり文句ばかり書きたくないですが、ここは一人4~5万はする超高級店です。しかもミシュランの三つ星ということで、正直に書かせてもらいました。
この日は、乾杯のシャンパンと、CLOS SAINT-JULIEN ’06 SAINT-EMILION 4,800円の2杯飲みました。お会計は1人40,000円くらい。サービス料は12%です。昨年の様子はコチラをご覧ください。→ジョエル・ロブション
フレンチの名店、ジョエル・ロブション。ネットで調べると、ほとんどの方が絶賛しています。僕も昨年は絶賛しました。ただ、三つ星レストランといえど、毎日奇跡が行われているわけではありません。サービス面では、今回は残念なことが重なりましたが、それをもって「サービスが低下している」と結論付けるのは早急過ぎます。たまたま運が悪かっただけで、いい日もあれば悪い日もある。料理も同様です。それは大した問題ではありません。むしろ、同じメニュー、同じ食材を多用して1年間変えてないというのは、僕としては新しい発見でした。当然、意図があってのことだと思いますが、期待して行ったのでちょっと残念でした。
■店名:ガストロノミー ジョエル・ロブション (Joel Robuchon)
■住所:東京都目黒区三田1-13-1 恵比寿ガーデンプレイス シャトーレストラン ジョエル・ロブション 2F
■電話:03-5424-1347
■営業時間:11:30~14:00、18:00~21:30
■定休日:不定休(恵比寿ガーデンプレイスの休日)

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