僕が一番好きな焼き肉店、渋谷ゆうじ。店主ゆうじさんのこだわりと向上心を感じる素晴らしい店です。でも世間の評価は一段落した感があります。先日、ある雑誌の担当者さんに聞いたところ、「ゆうじはもうたくさん出てますからねえ」とのこと。お店に浮き沈みはそれほどないはずですが、雑誌の特集に同じ店ばかり載せるわけにはいきません。次々と新しい店が取り上げられ、行列ができていきます。昔から取り上げられている店は、そこそこの扱いのまま、よく言えば落ち着いてくる。焼肉ゆうじは、行くたびにレベルアップしていきます。ゆうじさんの向上心、研究熱心な姿勢は半端ではありません。雑誌やテレビで取り上げられる「旬な店」にみんなが夢中になっている間、焼肉ゆうじは着実にレベルアップしています。ガイドブック片手にあちこち食べ歩くだけでは得られない特別な肉料理。ゆうじにはいつも新鮮な驚きがあります。
原宿のアンセーニュダングルのバーテンダーさんが、「なんでしたっけ、ブログに出ていた焼肉店、渋谷の・・ゆうじ。行きたいんですけど」。コーヒーを飲みながら返事を待っていると、ふと思いついたようにそうつぶやきました。一緒に食べに行く店について、時々相談に行きます。すぐに決まることはあまりなくて、コーヒーを飲みながら誰かが思いつくのを待つように時間が過ぎていきます。
僕がゆうじに行くと、いつもおまかせにしてくれます。「お連れさんも、おまかせでいいですか?」。いろいろと自分が好きなものを食べたいのではないかと、ゆうじさんはいつも気を使ってくれます。ただ、おまかせの大変さをよく分かっている僕としては、いつも申し訳ない気持ちで人数分お願いしています。バーテンダー氏は、味の分かる方です。そうでなければ、おまかせのお誘いはできません。お店に対しても失礼だし、理解されないと自分が嫌な思いをすることになります。
まずはお通しの品。レバ刺し、センマイ刺し、くらした。「くらした」とは、肩ロースあたりの肉。背の鞍の下になる部分だから「くらした」といいます。これが出てくるまでに何十分待ったでしょうか。おまかせは、準備に時間が掛かります。おまかせが羨ましいという人もいますが、特別扱いされているわけではありません。知り合いにはおいしいものを食べて欲しい、という気遣いでしょうか。常連というものは、居酒屋でも必ず末席に座るものです。ゆうじでも、我々よりも常に他のお客さんが優先です。忙しい中、手間が掛かるものを作ってくれているので、どんなに遅くなっても文句は言いません。ゆうじにはいつも驚かされます。昨年最も驚かせてくれたのがこの、ホルモンの柳川鍋。そうきたかぁ~、という驚きと、思いつきでない確かな味付け。これは美味でした。
おまちかねのホルモンの登場です。この日も「ホルモン食べたいです」とだけ言って席に着きました。たぶん言っても言わなくてもあまり変わらない気がしますが、念のためその時食べたいものを言うことにしてます。ミノサンド、ヤン、牛タン、すい臓、ホルモン。ゆうじのホルモンは、異常なまでの下処理へのこだわり、知識の豊富さとチャレンジ精神がベースになっています。一緒にラーメン二郎を食べに行った時、並びながら肉の話ばかりしていました。その時の話は印象深かった。これほど真剣に焼肉のことを考えている人がいるとは、驚きです。
中休みに、キムチとサラダ。たぶんお腹の具合を把握されているんでしょう。絶妙なタイミングで出してくれます。途中でこういうものが出てくると、気分が切り替わって、この後まだまだ食べれてしまいそうです。
正肉も登場します。なんとこの終盤になって出てくるとは。イチボ、トモサンカク、サーロイン、ザブトン。バーテンダー氏のご要望で、カレーライスを追加します。1人分を小さめのお皿に分けて2ついただきました。シメは、小豆最中アイス。最近の定番です。
僕としては1人10,000円強かなという印象でした。ところがお会計は驚くほど安い。来るたびに進化する、ゆうじのおまかせ。年に4~5回は食べに行きたいところです。
■店名:炭火焼 ゆうじ
■住所:東京都渋谷区宇田川町11-1 松沼ビル 1F
■電話:03-3464-6448
■営業時間:19:00~23:30(L.O)、土18:30~23:30(L.O)
■定休日:日曜・祝日
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