麺屋武蔵 新宿

ラーメン

ラーメン界は、新しい店ができては消えていく、動きの激しい世界。脚光を浴びて、連日行列を作るような人気店になるのは、ほんの一部です。毎年多くの店が世に知られることなく、閉店しています。そんな中、麺屋武蔵は、ラーメン界に強烈なインパクトを残しました。店主山田氏がアパレル業界から転身したのは、1996年のこと。当時知られていなかったサンマの煮干しを使ったスープを引っ提げ、颯爽と登場しました。エビ油や柚子の皮を使うアイデアも珍しく、無化調、Wスープなどのキーワードは麺屋武蔵の名と共に一躍メジャーになりました。清潔な店内、女性用の髪止めや紙エプロンなど、ラーメンを食べる環境にもこだわりを見せる。今では当たり前になっているラーメン文化のいくつかは、この店がはじめた(あるいは広めた)と言っても過言ではありません。まさにラーメンの歴史に名を残す名店です。
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支店は都内に9店舗店。それぞれ独自のテーマがあり、全店味が違うというのが武蔵のこだわりです。大勝軒ラーメン二郎などと共に、ラーメン界に絶大な影響を与えたラーメン。武蔵が残した強烈なインパクトは、後のラーメンのDNAとなって、多くの名店に引き継がれています。
久々の麺屋武蔵。時々、この店の前を通ると、必ず行列ができています。テレビにもよく登場するので、当分人気が衰えることはなさそうです。小滝橋通りは有名なラーメンストリート。ただ、他のライバルたちは、武蔵に比べるとやや見劣りします。ラーメン二郎や中本もありますが、小滝橋通りが特に人気ということはなさそうです。やはりこの通りがメジャーになったのは、武蔵ができてからではないでしょうか。時間帯が遅いせいか、行列はなく、すんなり座ることができました。ジャズが流れる店内は、清潔で内装にも気を使っています。
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ら~麺800円を注文。麺の量は、並・中・大盛り。どれも同一料金になっています。スープは「こってり」と「あっさり」を選択できます。僕は大抵「こってり」にします。スープは鶏ガラと豚骨を主体とした「動物系スープ」と、サンマの煮干し、かつお節などの「魚介系スープ」を丼の中でブレンドするWスープ。無化調にこだわり、分かりやすい旨味よりも滋味深いスープを作ろうと努力しているように見受けられます。ただ、ちょっと気になったこともあります。昔からそうだったのか自信がないのですが、油がかなり多く、味も少し甘くなったような気がします。チャーシューは柔らかく、噛むとほろほろと崩れる。中太麺はむちむちとして相変わらずうまい。柚子皮のさわやかな風味もポイントです。
湯きりの時の「セイヤッ!」「よいしょ!よいしょ!」という掛け声が、聞こえてきます。こういうパフォーマンスはいらないな、と個人的には思います。ジャズの流れるスタイリッシュな店内に、「よいしょ!」はそぐわない。麺屋武蔵のラーメンは、登場した頃は鮮烈な印象を受けました。最近は世間が慣れてきたこともあり、格別印象には残りません。新しい味は、驚きと共に迎えられますが、他店が真似をし、その系統の味にお客さんが慣れることで、本家の個性も相対的に薄まっていくように思います。武蔵にしてこうなのだから、他店が生き残れないのも無理がない。だから武蔵はコンセプトの異なる支店展開をするのかなと、久しぶりに本店に食べに来て、妙に納得してしまいました。

■店名:麺屋武蔵 新宿本店
■住所:東京都新宿区西新宿7-2-6 K-1(ケイワン)ビル1階
■電話:03-3363-4634
■営業時間:11:00~21:30
■定休日:無休

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