日光に旅行した時、夕食を食べて帰ることになった。遅い時間だし特に行きたい店があるわけではなかったが、調べてみると、「堯心亭(ぎょうしんてい)」という店に興味が湧いた。日光で唯一の精進料理専門店だという。
日光東照宮の隣にある「明治の館」は、アメリカの貿易商ホーン氏の別荘で今はレストランとして使われている。その他にも5軒ほど系列のレストランがあるが、堯心亭もそのひとつ。
店に入ると広い座敷に通された。その中にテーブルが並べられて、皆庭を向いた席になっている。隣との間に仕切りはあるものの、個室ではないので、他のお客さんの様子もなんとなく分かる。みんなで同じ庭を見ているという感覚もあって、不思議な雰囲気だ。
メニューは、懐石弁当(昼のみ)3,150円、精進料理3,990円、精進本膳5,775円、懐石膳3,990円、懐石料理5,775円、おまかせ懐石料理8,400円~となっている。精進料理と懐石料理に分かれていて、品数などが違うコースがある。中途半端な時間だったこともあり、品数の少ない懐石膳3,990円にした。元々は精進料理に惹かれて来たのだが、実際注文する時になると気が変わってしまった。
刺身は「戻り鰹の土佐造り」。これは結構な量がある。「揚巻湯波」は温かくて甘い味付け。そのあとの「八汐鱒(ます)たずな焼」も甘めだがいい香りがする。コースはこれでもかなりボリュームがある。
サービスはとてもよくて、気分よく食事ができた。お茶は何度も入れ替えてくれるが、甘味の時には香りのいいほうじ茶に変わった。
帰りはもう暗くなっていた。お会計の時にタクシーを呼んでもらえばよかったのだが、何も考えずに店を出てしまった。駅まで歩いて25分ほどだというから歩けなくもない。それで歩き始めてしまったのがよくなかった。道は真っ暗で、単純な道のはずなのに所々で間違えたりする。旅行はいつも行き当たりばったりだが、夜遅くなる時は気をつけないと。
懐石膳3,990円
先付:若水菜と板麩の胡麻浸し、千代口:生引上湯波、壺:胡麻豆腐、刺身:戻り鰹の土佐造り、平椀:揚巻湯波 さや、焼物:八汐鱒(ます)たずな焼、煮物:里芋・厚揚・椎茸・印元(いんげん)・もみじ麩、揚物:鱚(きす)のはさみ揚・秋茄子・薩摩芋、飯椀:湿地(しめじ)飯、小皿:香の物、汁椀:赤出し汁仕立、甘味:南瓜羊羹。
■店名:堯心亭(ぎょうしんてい)
■住所:栃木県日光市山内2339-1
■電話:0288-53-3751