冬の旅行の続き。電車を乗り継いで境港にやってきた。境港は漫画家水木しげる氏の出身地として有名。境港駅前から水木しげる記念館までの約800mの間が「水木しげるロード」になっている。「ゲゲゲの鬼太郎」などに登場する妖怪が153体ブロンズ像になって通りに並ぶ。その水木しげるロードを途中で横道に入って少し行くと「味処 美佐」がある。
美佐は宿泊施設を併設している。遅くまで食べて飲んだお客さんが「酔っぱらって帰るのがめんどくさい」というので建てた宿だそうだ。それだけに設備は最低限のものだけで、普通の旅館のようなサービスはないが、宿泊と料理がセットになったお得なプランがある。
境港はカニ水揚げ日本一の港でもある。ここに来たら松葉ガニや紅ズワイガニを食べておかないといけない。美佐では、毎朝市場で買いつけたり、馴染みの漁師さんから直接仕入れてたりもしている。松葉ガニは新鮮そのもの。見た目が感動的に美しく、まだ少し動いているほどだ。
僕らの席は一番奥の静かな個室だった。最初にこの日食べる松葉ガニを持ってきてくれた。こんなに鮮度の高い松葉ガニは他では食べることができない。しゃぶしゃぶにしたり、焼いてカニみそに漬けたり、食べ方は自由だが、せっかくなのでまずは生でいただくことにした。本場で食べる蟹はなんとうまいことか。
宿泊と料理がセットになったプランが面白い。素泊まりは3,800円と安いが、セットになるとさらにお得。単品で頼むと3,000円以上のおまかせ料理(10品前後)と宿泊がセットで6,000円。思わず「なんだそれ」と言ってしまうほどの安さだ。料理は魚中心でカニがある時期はボイルガニ、煮魚等がつくらしい。11月~3月は「松葉ガニ宿泊」というのがあって、1泊夕食9,500円。さすがカニ水揚げ日本一の境港だ。
僕らは「松葉ガニ宿泊」の「蟹2枚プラン」14,000円というのにした。1泊夕食付(朝食はなし)だ。水木しげる記念館の入場券と駅ビルの中にある「さかいポートサウナ」のお風呂券+おまけが付いたセットがあったのでそちらもお願いした。チェックインした後すぐにお風呂に行って、夕食を食べたら目の前の宿で寝るだけという最高のプランだ。
お通し
最初にこの日調理する蟹を持ってきてくれる
蟹みそ
生でも焼いてもご自由にというので、とりあえず生で。こんなに美しい蟹は初めて見た
松葉ガニは焼くと甘みが際立つ
水木しげるロードにある千代むすび酒造の酒。地元で飲む日本酒はほんとうにうまい
一番奥にある庭の見える部屋。料亭のような部屋でした
最後の雑炊の時、鍋の野菜は全て引き上げるが、カニを入れておくと身を取って使ってくれる。最初から最後まで蟹づくしで、蟹の魅力を余すとこなく堪能できた。地元の酒「千代むすび」なんかをたくさん飲んでかなり酔っ払ってしまったが、目の前の宿で寝るだけだから大丈夫。美佐は素晴らしい店でした。
境港は、水木しげる記念館や「ゲゲゲの女房」の影響で以前と比べものにならないほど来訪者数が増えている。でもなぜか未だに宿泊施設はほとんどない。駅前のホテル建設がようやく着工したそうなので今後は変わると思うが、現在は米子、出雲、松江などに宿をとる人が多いそうだ。
■店名:味処 美佐
■住所:鳥取県境港市京町6番地
■電話:0859-42-3817