今年の5月、一ヶ月間だけ「新生トロワグロスペシャルメニュー」というのをやっていた。フランスの名店「トロワグロ」は、49年間もミシュランガイドの三つ星に輝き続けている。ロアンヌの駅前広場に87年間、店を構えていたが、今年の春に郊外の町ウーシュへ移転した。それで、日本でも新生「トロワグロ」スペシャルメニューを提供することになった。この期間中の4日間だけ「トロワグロ」4代目のセザール・トロワグロが来日するということで、その日に合わせて予約することにした。
店内はガラス張りで明るく、天然木を使用した柱や梁で囲まれたウッディな雰囲気。奥の方は特に落ち着いた空間になっている。スペシャルメニューは10皿の23,000円と11皿の25,000円の2種類があった。微妙な2種類だが、ここは25,000円の方だろう。
日本のトロワグロが何を目指しているのかよく分からないが、料理を食べて感じるのは、少し面白いことをやろうとしているということと、アジアっぽいエッセンスを入れたいというところだろうか。この日の料理もフランス風でも日本風でもなく、アジア風テイストのフレンチという印象を受けた。
トロワグロさんにもそんな感想を述べてみたのだが、会話はあまり噛み合わなかった。はっきりと感じたのは、残念ながら、東京をそれほど重視してないということ。言葉は分からなくても、そういう雰囲気は伝わってきてしまう。今回は関係者を通して予約したわけでもないし、こんなものなのかもしれないけど。
料理は正直に言うと、前回ほどの凄みは感じなかった。シェフも変わったし、今回は「エグゼクティブシェフのギヨーム・ブラカヴァルがウーシュに赴き経験した、今最も新しいトロワグロ」(HP)という「新生トロワグロスペシャルメニュー」。通常メニューとはちょっと変わっているのかもしれない。
ミシュランで10年も二ツ星を取っている店だが、晴山や リューズのような他の二ツ星店と比べると今回は物足りなかった。食材だけを見ても、25,000円のコースにしてはちょっと寂しい。メインらしきメインもないし、節約しすぎかなというのが正直な印象だった。ただ、スペシャルメニューというのは、こういうこともあるものだ。クリスマスも控えてるので、特別メニューには注意しないといけない。
【新生「トロワグロ」スペシャルメニュー】
はじまりの一品
アミューズ ブーシュ
アスパラガス 蕎麦の実とオゼイユ
帆立貝と”umami”
ホウボウのルージュ
ラングスティーヌと野菜のだし ピメントバター
天城軍鶏のシュプレーム ソース simsim
チーズセレクション
セルからシュクルへ
小菓子
インサラータ
■店名:キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ (Cuisine[s] Michel TRIISGROS)
■住所:東京都新宿区西新宿2-7-2 ハイアットリージェンシー東京 1F
■電話:03-5321-3915