与論島2日目の夕食はホテルの裏口から歩いてすぐの場所にある「くねんぼ食堂」を予約していた。長い散歩から戻ってお店に向かうと、入口の前に犬が寝ていた。開店までまだ少し時間があったのでそのまま待っていたのだが、ちょうど開店の時間になると起き上がって道をあけてくれた。それが偶然だったのかどうかは未だに謎だが、実はこのワンちゃん、営業時間中ずっと入口にいて、時々店の中を覗き込んだりしていた。道をあけてくれたのはやはり偶然ではなかったのではと今では思っている。
僕らは奥の小上がりの席。手前に2つテーブル席があった。同時に3組しか入れないので、予約は必須だ。小上がりにしてくれたのは、予約が早かったからかもしれない。僕は与論島に行くのが決まってすぐにこの店に行くことに決めて予約していたからだ。
クチナジの刺身。フエフキダイの仲間だそうだ。刺身の残りの部分は味噌汁に入れてくれた。味噌汁は、島魚のみそ汁700円。
いか焼き880円。沖縄豚塩焼850円。プレートを出して来てくれて、イカと沖縄豚を焼く。豚はネギをまいて食べる。イカ焼きの時にプレートにつく茶色いものをこそぎ取って食べる。かなりうまい。
くねんぼ食堂は、いろいろとこだわりのある面白い店だ。全ての料理がオリジナルで地元の食材を使っている。それから店主が親切でとても面白い方だ。いろいろ話をしていると、「このへんは観光客用だから、一応メニューには載せてるけど食べなくていいよ」とかそんなことを平気で言う。最初に「おまかせとかできますか?」と聞いた時には「それはちょっと・・・。好きなものを頼んだ方がいいですよ」と言っていたのに、途中から「じゃあ、適当に出すけどいい?」と言うので、結局ほとんどおまかせになった。
エラブチ辛しマヨネーズ焼1,280円。この日一番美味しかったのはこれかもしれない。独創的なセンスの光る料理だ。
チーズチヂミ950円。
いうがま豆腐650円。ご主人に言われた通り、ずっと噛んでいると口の中ですべての食材が混ざり味が急に変わる。これは不思議だ。
僕は今まで思い違いをしていたということを、この店に来てはじめて気付いた。昔、沖縄で魚料理を食べた時、正直言ってあまりおいしくはなかった。その時はたぶん海水温も高いし採れる魚も限られているし、仕方ないのかなと思った。それ以降、暖かい土地の魚はあまり美味しくないのではと思い込んでいた。
ところがくねんぼ食堂の魚はものすごく美味しかった。聞いてみると、採れる魚は沖縄と同じだという。何が違うのかというと、与論島の人たちは魚のことをよく知っているのだ。魚の採り方や食べ方を熟知している。これは文化の違いなのだと思う。
いちゃがらしゅ500円。お酢と焼酎に島唐辛子を入れた、いかすみの塩辛。
自家製梅酒ロック650円。ブランデーで漬けているそうだ。この日はこれ以外はすべて黒糖焼酎「島有泉」。ロックで500円だ。
くねんぼ食堂のご主人は毎日自分で魚を採りに行く。なんと夜中に出掛けて行って魚の寝込みを襲うのだという。魚にしてみると、寝ている時に突然モリで突かれるのだ。だからストレスのない美味しい魚を、毎日新鮮な状態で出すことができる。魚の採り方や処理方法などの説明を受けて、魚のことをよく知っているというのは、すごく大切なことだと改めて感じた。
豚みそおにぎり380円
サービスのアテモヤ。
くねんぼ食堂の番犬。時々彼女が遊びにくる。
■店名:くねんぼ食堂
■住所:鹿児島県大島郡与論町立長330-1
■電話:0997-97-5510