戦後間もなく創業した老舗の焼き鳥屋、鳥ぎん。当時珍しかった釜めしが名物の焼き鳥屋です。今では全国に30店の支店があり、そのうち直営店は7店。その他は「鳥ぎん会会員店」という位置づけになっています。ニュー鳥ぎんもその一つで、創業は昭和28年。3階建ての建物が、銀座の路地裏にひっそりと溶け込むように建っています。
ニュー鳥ぎんは、鳥ぎん本店のすぐ隣にあります。ビルの地下に広々と店を構える本店は、一度に数十本の串を焼く光景が、いかにも流行っている焼き鳥屋の雰囲気を漂わせています。それに対しニュー鳥ぎんは、1階の入口付近にL字に並んだ2台の焼き台があるのみ。店内は狭く、みっちりとテーブルが詰め込まれています。1階から3階まで客席があるので、どんなに混んでいてもあまり待つことはありません。相席ですぐに座らせて、席が空いたら移動させてくれます。この気遣いは気持ちのいいものです。
いつも騒がしい店内は、気を使わずに気楽に飲むことができます。鳥ぎんは銀座に3店ありますが、結局この店ばかりに足が向くのは、この雑然とした雰囲気のためでしょうか。焼き方が丁寧なのも、他の鳥ぎんにはない特徴です。味に厳しい人には勧めませんが、ニュー鳥ぎんの焼き鳥は、時々食べたくなる個性があります。
ビールは中ジョッキで620円。焼き鳥は1本160~300円くらいです。僕の場合、まずは「お得な盛り合わせ」1,100円から注文します。盛り合わせは、やきとり、はさみ、ねぎま、手羽先、レバー、つくねのセット。それぞれタレと塩を指定できます。手羽先が270円でその他は170円なので、このセットで頼むと20円安い。注文が早く済むので、いつも最初にビールと盛り合わせを頼みます。次に何を焼くかは、その後ゆっくりと考えればいい。何も考えず会話に集中できるので、こういうセットはありがたいものです。ちなみに鳥ぎん本店には、ライトコース(5種)780円、エンジョイコース(8種)1,300円、スペシャルコース(14種)2,490円もあり、焼き鳥に関しては何も考えずに済みます。
珍しい焼き鳥もいくつかあります。白モツ(ハツモト)280円が、1人1本までの限定。これは売り切れになっていることが多い。限定 骨付きもも650円、串玉(くしたま)などもレアメニューです。串玉はお腹の中にある状態の、殻がまだ出来ていない卵。焼き鳥以外では、特性煮込み450円などもよく注文します
お通しは名物の、しらすおろし。これはメニューにもあるので、追加注文もできます。シメはほぼ全員が注文する釜めしです。注文を受けてから炊きはじめるので、少し時間が掛かります。2度目の注文をする時に、一緒に釜めしも頼んでおくとちょうどいいようです。釜めしには、鳥、筍、海老、かに、山菜、小柱、穴子、かき(10~3月)、松茸(9~10月)などなどいろいろとありますが、オススメはやはり鳥を使ったもの。この日は、鳥と小柱1,100円を注文しました。
これまで何度も訪問して、銀座の隠れ家的に使ってきたニュー鳥ぎん。こういう店をどう紹介するかは難しいものです。今年は和食や居酒屋、特に、あまり注目されない店も紹介していきたいと思います。鳥ぎんのように、長く愛されている店には、それなりの理由があります。酒や料理のおいしさだけでなく、総合的に「いい店」を紹介していきたい。そういう思いを込めて、新年最初の記事はこの店にしてみました。
■店名:釜めし 焼とり 銀座ニュー鳥ぎん
■住所:東京都中央区銀座5-5-11
■電話:03-3571-3334
■営業時間:16:30~22:00(L.O.21:45)、土・日・祝11:30~21:30(L.O.21:15)
■定休日:月曜日
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