2009年11月09日

キュイジーヌ[S] ミッシェル トロワグロ 新宿

ここ数年は、今までにないほどフレンチを食べに行った。ミシュランの三つ星は全て、二つ星もいくつか訪問した。その中で僕が一番気に入ったのは、キュイジーヌ[S] ミッシェル トロワグロ。この店がなぜ三つ星ではないのだろうと、理由を探してしまうほどだ。料理はおいしく、美しかった。日本人が好む、素材を活かしたシンプルな調理がいい。今月ミシュランが発売される。新たに三つ星に昇格する店があるとすれば、候補にあがるのはこの店ではないだろうか。

蛤とキャビア りんごとバジルのジュレ

前菜

前菜
少し早めに着いたので、入り口近くのソファで待つことにした。ここからはガラス張りの厨房が丸見えで、中の様子を観察できる。フランス人が二人と、あとはかなり若い日本人が数人。話しながらゆったりと作業を進めている。調理は丁寧で清潔。それでいて和やか。こんな厨房もあるんだなと、好感を持って眺めた。

前菜は2品、細長いプレートとスープ。プレートには小さな料理が3品のっていた。トマトを豚の背脂で覆ったもの、ビーツの入ったレンゲ、もう一つはリンゴのスナック風のもの。味ははっきりとしているが、食後感はさっぱり。コースに期待感を持たせる効果もあり、前菜にぴったりだ。

蛤とキャビア りんごとバジルのジュレは、彩がよく、見た目がかわいい。味付けは非常に繊細で爽やか。少し塩がきいているのもいい。

鯛のポワレ モリーユ茸とアスパラガス コロナータのラルド

ラングスティーヌのポワレ 

・アグー豚のフォンダン 
鯛のポワレ モリーユ茸とアスパラガス コロナータのラルド。イカスミのソースと白ワインとツナソースが添えられている。モリーユ茸は、コロナータ産ラルドの薄いベールで覆われている。ラルドとはラード(豚の背脂)のこと。付け合せに金柑とアスパラガス。金柑の香りがよく、アスパラもおいしい。

ラングスティーヌのポワレ グレープフルーツとセロリ。春のイメージで、サッパリとしておいしい。これは最近のヒットだ。ラングスティーヌはアカザエビのこと。下に、グレープフルーツ、スライスしたセロリ、キイカのソテー、ソロゴンというハーブなどを合わせている。セロリの風味をつけたミルクのソースがうまい。海老が半生で絶妙な火加減。これは完璧な一皿。

アグー豚のフォンダン インドネシアのサテ風味 グリーンマンゴーと白菜。バラ肉を1日真空調理して柔らかく仕上げているという。皮目をカリッと炙っているのがいい。オレンジ色のピューレはインドネシアのサテのイメージ。トロワグロは、スパイスをアクセントに使うのが好きなようだ。コリアンダー、生姜、ココナツミルクと、ピーナッツを細かく刻んで風味付けにしている。付け合せは、グリーンマンゴーと生姜。生姜というよりも、これは完全にガリだ。モノマネではなく、完璧に味付けされたガリ。これには驚いた。別添えで、コンソメ、ライムジュース、マスタードのソース。角煮のようにどろっとして、皮はぱりぱり。結構脂っぽい。これは正直言って、日本人にはギリギリかもしれない。こんな脂っこい食材を良く使ったな、というほど脂っこい。でもおいしい。この食材を、うまくまとめたものだと思う。センスと技量の高さを感じた。

・フロマージュ[エルベ・モンス氏熟成]

・ショコラのビロード パッションフルーツのクリーム ココナツのソルベ

記念プレート

トロワグロ
エルベ・モンス氏熟成のフロマージュ(山羊のチーズ)。エルベ・モンス氏は、フランス最高の熟成士で、フランス国家最優秀職人(M.O.F)。モンス氏が熟成師になるきっかけの一つがトロワグロ氏との出会いだという。チーズは6種類。白カビ、ブリドモー、サンマンフラン、ブリアサワー、フルンンナンベール、サンマルサン。フルムナンベールとブリドモーにした。フルンンナンベールは18ヶ月熟成の青かび。クリーミーで、味わい深い。味と香りは今でも明確に思い出せるほど、はっきりとした個性があった。

この日は、僕の誕生日のお祝いでの訪問。ワインも泡、白、赤とボトルでしっかりと飲ませてもらった。白はローヌ地方のシラーがうまかった。料理だけだと割安感があるのに、やはりワインを飲むとかなり高額になる。僕はワインを飲みたくてレストランに行くわけではないので、ここではワインはそこそこにして、料理を楽しみたい。誕生日ということで、お店からのプレゼントもいただいた。最後は軽めのデザート。ショコラのビロード、パッションフルーツのクリーム、ココナツのソルベ。

三代にわたって、ミシュランの三つ星を40年以上も守り続けているフランスの「メゾン トロワグロ」。キュイジーヌ[S] ミッシェル トロワグロは、三代目ミッシェル・トロワグロ氏監修の店だ。父ピエール氏は銀座の「マキシム・ド・パリ」のシェフとして来日したことがあり、ミッシェル氏も子供の頃、何度も日本を訪れたという。その体験は、「ミッシェル トロワグロ」にも生きているのだろうか。トロワグロの料理は、スパイスや柑橘類をアクセントに、甘みや酸味をうまく生かしたもの。とはいえ、エキゾチックな感じは弱く、洗練された現代フレンチといった印象。ガリやあんこうなど、日本的な食材もさりげなく使用する、幅の広いフレンチだ。しかもきちんとバランスが取れていて、行き過ぎた新しさは感じない。食材を生かすシンプルな味付けと、組合せのセンスのよさが印象に残った。


■店名:キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ (Cuisine[s] Michel TRIISGROS)
■住所:東京都新宿区西新宿2-7-2 ハイアットリージェンシー東京 1F
■電話:03-5321-3915
■営業時間:11:30~14:00、18:00~21:30
■定休日:水曜日


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