ザ・ペニンシュラホテル東京の最上階にあるラウンジ「Peter」。ここで音楽を聴きながら響12年を楽しむイベント「TOKYO NIGHT CLUB at Peter」が開催された。音楽と「響」。様々なモルトが響きあってできた名品「響」は、その名の通り、音楽と相性のいい銘柄だ。ウイスキーは、場面や場所によって味わいが変わってくる。ペニンシュラの最上階で飲む響はどれほどうまいだろう。
直行エレベータに乗り込み最上階で下りると、そこはもう別世界だった。薄暗い店内に浮かび上がる光のトンネルをくぐると、中央にステージがある広々としたラウンジが現れた。床から天井まで全面ガラス張りで、夜景を一望できる。ものすごい空間だ。
ステージでジャズの演奏がはじまった。突き抜ける声はリズムに乗って、どこかコミカルにも聞こえる。オシャレに楽しく、表現の豊かなヴォーカルだ。飲み物が運ばれてきた。なんと響12年のペリエ割り。フルーティな響12年を爽やかなペリエで割ると、スパークリングワインのような優しい華やかな味わいになる。これを背の高いグラスに注ぐと、爽やかな香りが炭酸と共に立ち上がってくる。口当たりがよく、クイクイといくらでも飲めてしまう。これは、うまい。
ペリエは南フランスの天然の炭酸水。ピレネー山脈の地殻変動で偶然生まれた炭酸水だという。ナポレオンが「フランスの誇り」と絶賛したと伝えられるペリエ。そのペリエと響。この上質な出会い。うまくないわけがない。
響を練りこんだショコラとのマリアージュ。ウイスキーとショコラはよく合う。爽やかで軽い飲み口の響12年と合わせるには、もう少しビターなショコラでもよかったかもしれない。ハードでビターなショコラを舌の上で溶かしながら、響を味わう。ひんやりと冷えたハイボールが心地いい。
響は、ブレンデットウイスキーの最高峰だ。響30年、21年、17年とあり、海外でも高い評価を受けている。今年9月に「響12年」を発売し、ついに12年にも参入した。シングルモルトは12年が一番うまい。白州とラフロイグだけは10年を好んで飲むが、この二つは例外だ。ブレンデットはなぜか17年ばかり飲んでいる。響やバランタインの17年は、僕にとって特別な存在。ここに新たに響12年が加わった。この微妙な存在感がいい。高品質でありながら、一般受けする口当たりのよさ。微妙なところを突いてきたなと思う。響12年の個性は、17年とは全く違っている。角ハイボールでウイスキーに目覚めた人が、次に手にするのは、この響12年だろう。
楽しい音楽を聴きながら、しっかり飲んで、お土産を手に帰宅した。夢のような時間はもうおしまい。帰ってお土産を開けると、ペリエと響12年のミニボトルセットだった。今年、結婚のお祝いにいただいたバカラのグラスに、丸い氷を一つ入れて、ソーダを注ぐ。ペニンシュラ最上階でジャズを聴きながら飲む、贅沢な響もいいけれど、こうして家で飲むハイボールもなかなかいいものだ。響12年のソーダ割りは、ハイボールとは言わないのだろうか。「一つ上のハイボール」。そのくらいのイメージかもしれない。響12年を家で飲む。こんな贅沢もたまにはいいものだ。