はんつ遠藤さんの「無化調ラーメンMAP」出版記念パーティ ーでお会いしたお二人、藤井さんと阪田さんの店、麺や 七彩。都内で最もクオリティの高いラーメンを提供する店だ。藤井さんとはその日お会いしたきりだが、阪田さんとは何度か食事会でご一緒させてもらった。お店の方には何度もお会いするのに、お店にはなかなか行けない。ようやく重い腰を上げて訪問したのが、今年の4月。ずいぶん遅い訪問になってしまった。店先で整理券を受け取り、指定された時間に戻っくるシステム。その間の時間をどう過ごすか。大崎さんの日記にあったドトールを探すも、見つからず。結局、その辺をウロウロしていると予定の時間になった。
厨房には藤井さんの姿があった。阪田さんは他の仕事のため、不在。いないのは分かっていたので、連絡しないまま訪問してみた。藤井さんは僕には気付かず、隣に座った常連さんらしき人と話をしている。やはりブログの基本は覆面取材。特別扱いを受けるよりも、お店の普段の姿を見る方がいい。
おかげでずっと厨房を観察することができた。麺が上がってからラーメンが出てくるまでに、かなりの時間が掛かっている。普通のラーメン店では、できた順にカウンター越しに客に渡すが、七彩はそれをしない。カウンターを出て席まで行き、また戻って次のラーメンを作る。その間、麺を入れたデポは湯から出された状態で置かれている。麺の状態は環境により変化する。これが麺の個性を引き出すための工夫なのだろうか。僕は同ロットの最後の一杯だった。
醤油らーめんは、チャーシュー、ネギ、メンマのシンプルな構成。これは味に対する自信の表れだろう。実際、キチンと作ったラーメンは、このくらいシンプルな方が、おいしさをダイレクトに味わえる。澄んだスープがなんとも美しい。しかしスープよりもやはり麺のうまさが際立っている。スープはややまとまりに欠ける印象。この時食べたラーメンは悪条件にも係わらず、素晴らしい味わいだった。それを考えると、七彩のラーメンはその時々によって微妙に変わるデリケートなラーメンなのだろう。
七彩は無化調にこだわっている。店先にその思いを示す看板があり、「味の素が嫌い」とはっきりと書かれていた。化調の何がいけないのか?食べる側からすれば、化調の食感が気持ち悪いというのが一番よくない。でもこれは化調の種類によっても感じ方は違ってくる。では作る側から見て、何が良くないか。七彩の看板には、「農家や畜産の方々が農薬や化学肥料・抗生物質等を使わずに苦労して育ててくれた食材の味や香りが失われ、全てが同じ味になってしまうから」と書かれている。農薬などを使わない生産者の苦労は大変なものだ。その努力を無駄にしないように、真剣にラーメンを追求する姿には共感を覚える。
七彩は様々な限定ラーメンを提供しているが、僕は次回も醤油らーめんを食べようと思う。様々なラーメンを食べ歩くよりも、一品一品しっかり味わいたい。真剣に作った料理は真剣に味わうべし。その考えは、ラーメンに対しても変わらない。
■店名:麺や 七彩(めんや しちさい)
■住所:東京都中野区鷺宮3-1-12
■電話:03-3330-9266
■営業時間:11:30~売り切れ終了
■定休日:第3火曜日
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