ミシュランで一つ星を獲得した 四ツ谷の居酒屋、萬屋おかげさん。3年前から通っている店だけに、評価されて素直に嬉しく思います。はじめて行った時にご一緒した岡部さんと、萬屋おかげさんで小さな忘年会を開催。その様子をツイッターでつぶやいたところ、七彩の阪田さんが反応してくれました。萬屋おかげさんのご主人と飲んだことがあるそうで、それ以来、訪問する機会をうかがっていたようです。というわけで、新年早々に訪問。結局、忘年会、新年会とも、萬屋おかげさんになりました。
まずはオススメの黒板からいくつか注文します。するめいかしょっつる焼680円、ハツ焦がし醤油焼き600円は、あれば頼んでおきたいところです。味付けは濃くはないものの、日本酒を飲むことを前提に考えられているようです。どのメニューも日本酒と相性がよく、酒がすすみます。
忘年会では、天青(神奈川)防空壕貯蔵2年熟成750円、七田(佐賀)純米 平成十七年度醸造750円、悦凱陣(香川)純米吟醸亀ノ尾、雪の茅舎(秋田)純米吟醸850円などを飲みました。お猪口は籠から2つ選ぶように言われます。深めの丸っこいものと、底が浅く広がったタイプを選択。形の違いで味が変わるので、はっきりと違うものを選んだ方がよさそうです。酒は、正一合だけでなく、グラス(110ml)も用意されています。
新年会では、阪田さんがご主人と面識があるということで、お酒は全てご主人におまかせ。日本酒メインの店では、料理に合った酒をお店に選んで欲しいものです。新年の初日にうかがったので、奈良萬の冷やを新年のサービスとして頂きました。その他にも、早瀬浦(福井)、遊穂(石川)、亀甲花菱(埼玉)、十四代雄町のなかだれ(山形)、佐久乃花(長野)、杉勇(山形)、来福(茨城)の愛山など、他にも飲んだと思いますが、後半の記憶は定かではありません。
オススメの黒板から、活〆かわはぎ刺(尾鷲)肝醤油1,350円、めじまぐろ(氷見)わらあぶり刺1,400円、活〆真鱈(常盤)刺身からすみかけ1,400円、〆鯖(対馬)1,100円などを選びます。好きなものを複数選べば、刺身盛りにしてくれます。中でも外せないのが、カツオやめじまぐろのわらあぶり刺、肝醤油で食べる活〆かわはぎ刺、鱈の刺身からすみかけなどでしょうか。萬屋おかげさんは、名物の多い居酒屋です。定番メニューの完成度が高く、存在感があります。
筑前煮、揚げたて自家製さつま揚680円、仙台せりのおひたし600円、牛すじポン酢(国産和牛)680円。料理にこだわった居酒屋は、割烹のような料理を出す店が多いようです。見た目で高級感は出るものの、味は割烹に及びません。厨房を覗けば、やはりそれなりの作り方をしています。これはコスト的にみて仕方のないところでしょう。
萬屋おかげさんの料理は、日本料理然としたものは少なく、純粋な居酒屋メニューばかり。それでいて何を食べても質が高いというのが、この店の素晴らしいところです。料理が酒をおいしくして、逆に酒が料理をおいしくする。質の高い料理と日本酒だからこその相乗効果ではないでしょうか。
毎日焼いてます!だし巻き玉子600円、自家製お新香盛(来福蔵愛山米糖使用)500円、そして最後に名物の、塩だけの贅沢なおむすび(小笠原自然海塩)1ケ200円と味噌汁200円を注文。はじめてこのおむすびを食べた時は感動しました。ふんわりと微妙に空気を含んだ握り加減と、米によく合う塩の個性。ただ最近、昔の方がおいしかったように感じるのは何故でしょうか。握る人が変わったのか、はじめて食べた時の驚きが大きかったせいでしょうか。それでも、萬屋おかげさんといえば、おむすびが真っ先に頭に浮かびます。完成度の高い料理は記憶に残るもの。萬屋おかげさんの料理は、鮮明に記憶に残るほどの個性があります。
毎回のように、「予約で満席です」という札が入口に掛かっています。来ているのは、恐らく常連ばかり。雑誌やミシュランを見て来た人は、ほとんどいないようです。萬屋おかげさんは、昔の居酒屋の本には出ていませんが、今では間違いなく東京の居酒屋のトップを独走する店。このまま荒らされず、いつまでも楽しく飲める店であって欲しいと思います。
【忘年会】
・編集者 岡部敬史さん
・節約アドバイザー 和田由貴さん
・イラストレーター 長縄キヌエさん
【新年会】
・はんつ遠藤さん
・七彩 阪田さん
・油屋ごはん エマさん
※ 立ち呑み居酒屋 金町製麺
萬屋おかげさん 四ツ谷
■店名:萬屋おかげさん
■住所:東京都新宿区四谷2-10松本館B1階
■電話:03-3355-8100
■営業時間:18:00~22:30(L.O.)
■定休日:日曜・祝日・月曜
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