北岩手の短角牛を楽しむ会でお会いした岩手県の方のお誘いで、銀座にある岩手県のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」(略して「銀プラ」)で開かれた、「いわて酒ナイトセミナー in 銀座」に参加してきました。岩手県は日本一の杜氏集団、南部杜氏を生んだ土地ですが、一部の酒蔵を除けば、意外と日本酒が知れていません。「米がいい、水がいい、人がいい」という岩手県において、いい酒が造れないわけがない。足りないのは知名度だけ!マスコミ関係者などを集めて、最近開発した新酵母を使用した日本酒の紹介と試飲会が行われました。
岩手県工業技術センター食品醸造技術部の山口佑子氏によるセミナー「いわてのお酒が美味しいワケ」。いわての新酵母「ジョバンニの調べ」と「ゆうこの想い」について、その開発の背景などについて説明がありました。
岩手県の酒蔵は現在23社。有名な南部杜氏は、日本三大杜氏の一つで、日本最大の杜氏集団でもあります。南部杜氏が独特なのは、日本全国に杜氏を派遣しているところ。米、水、気候など、様々な条件に合わせた酒造りのノウハウを有しています。
岩手県では、オリジナルの酒米も開発されています。これまでは「吟ぎんが」と「ぎんおとめ」という酒米を中心に酒造りがされてきました。現在、更に開発を進め、山田錦を越える品種を育種中とのこと。この米が使用されるようになると、岩手の酒は大きく前進することになるでしょう。
岩手県が開発した新酵母「ジョバンニの調べ」と「ゆうこの想い」。日本酒の鑑評会で金賞を取ることを強く意識した酵母です。最近の鑑評会では、吟醸香(カプロン酸エチル)が高く、酸の低いものが好成績をつる傾向があります。これまでのいわての酵母では鑑評会には不向きでした。
新酵母「ジョバンニの調べ」は、華やかな吟醸香ときれいな味わいが特徴で、大吟醸酒に向いています。対して「ゆうこの想い」は、やさしい味わいと軽快な酸味が特徴で、純米酒に向いています。この2つの酵母を使用した日本酒は、岩手県の新酒鑑評会でも高い入賞率を誇っています。なんと金賞の過半数を占めるほど、鑑評会で有利な酵母になっています。
酒蔵の紹介、セミナーの後は、試飲試食の時間です。テーブルいっぱいに並べられた食品は、全て銀プラ(いわて銀河プラザ)で購入することができます。
僕が気に入ったのは、麦いか素干し525円。春から初夏にかけて、麦が実るころにとれる三陸産の「麦いか」は、肝をそのままに丸ごと干したもの。中からとろりと出てくる肝がなんともいえない美味です。これは酒飲みにはたまりません。
さんまの冷燻525円は、三陸産の脂がのった秋刀魚を使用。香りのいい桜チップでじっくりと冷燻され、微かな燻香と秋刀魚の味わいがよく合います。
まめっこ漬け278円は、盛岡市玉山区で作られた青平豆の漬けもの。塩味がちょうどよく、止まらないおいしさです。
のだ塩ベコの道367円は、太平洋の海水をくみ上げ、数十時間かけて釜で煮詰めて作られたミネラルたっぷりの天然塩。いろんな商品にこの塩をつけて食べてみました。いつも売り切れているそうなので、この日味見ができてラッキーでした。
売店には様々な岩手県の特産物が売られています。日本酒、地ビール、味噌、醤油、冷凍食品。短角牛の肉も普通に売られていました。その中で僕が購入したのは、試食で気に入った、まめっこ漬けや麦いか素干しなど。
セミナーでは、「米がいい、水がいい、人がいい。ないのは知名度だけ」というお話がありましたが、酒のアテとなる食品の豊富さも特筆すべきものがあります。元々、日本一の杜氏を抱える土地だけに、ポテンシャルの高さは間違いありません。酵母は完成度の高い「ジョバンニの調べ」と「ゆうこの想い」の2つが出来上がりました。今、開発中の新しい米で作られた酒が出てくるようになると、岩手県の日本酒のイメージも大きく変わるのではないでしょうか。
■店名:いわて銀河プラザ (銀プラ)
■住所:東京都中央区銀座5丁目15-1 南海東京ビル1F
■電話:03-3524-8282
■営業時間:10:30~19:00(毎月末日~17:00)
■定休日:年末年始
大きな地図で見る