リードヴォーのソテーとオマール海老、ジロール茸とアーモンドのソース
ベージュ アラン・デュカス東京は、シャネルとアラン・デュカス氏がコラボレーションするレストラン。同じくアラン・デュカス氏がプロデュースするビストロブノワのシェフだった小島景氏がベージュのシェフに就任して以来、今回が初めての訪問になった。
店内は広々として清潔な印象。席に着くまでの間、気持ちのいい空間を一通り歩いて奥の席に着いた。まるで演出のような案内の仕方だが、客を店の空気になじませる効果があるようだ。
コースはシェフおまかせメニュー(アミューズ、4皿、デザート)22,000円にした。季節野菜のバリグールとアワビ、リードヴォーのソテーとオマール海老、ジロール茸とアーモンドのソース、オナガ鯛とフェンネルのブレゼ、レモンとトマトのソース、ルーアン鴨のア・ラ・ブロッシュ、フォアグラとジャガイモのフォンダン サルミソース。適度な間隔で料理が運ばれてくる。一つ一つがしっかりとした個性を持っているので、どの料理も印象に残る。日本全国から食材を厳選しているだけに、メインの食材は存在感がある。小島シェフが多用する鎌倉野菜のおいしさは格別で、すべての皿にもっと野菜を使ってほしいと思ったほどだ。
デザートは、ババ モンテカルロ風にした。これはブノワでも食べることができるが、ここでもまた食べたくなった。プティ・フールとして、マカロンやチョコや、シャネルのマーク付きのチョコレートなども出された。それから、この日は記念日ということで、特別にプレートも用意してくれていた。
季節野菜のバリグールとアワビ
オナガ鯛とフェンネルのブレゼ、レモンとトマトのソース
ルーアン鴨のア・ラ・ブロッシュ、フォアグラとジャガイモのフォンダン サルミソース
個性の出たはっきりとした料理は、食べていて気持ちのいいものだ。シェフがやりたいことを十分にやれているように感じた。アラン・デュカス氏の小島シェフに対する信頼の表れではないかと思う。ベージュの方に聞くと、実際そうらしい。今まで僕は、アラン・デュカスグループのシェフたちは、デュカス氏の作ったメニューを各国で実践しているものだとばかり思っていた。そういう場合もあるのかもしれないが、小島シェフに関してはちょっと違っているようだ。
小島シェフが考えたメニューを、デュカス氏の考えに沿っているかどうかチェックはするものの、基本的に最初のアイデアはほぼそのまま通るようだ。小島さんが厨房で生き生きとして見えるのは、そういう信頼関係がベースにあるからだろうか。
ババ モンテカルロ風
この日はアラン・デュカス関係の人に予約をお願いしていたので、僕が小島シェフのファンだということを知っていて、食後に厨房も見て行って下さいと声を掛けてくれた。もちろんほとんどの料理を出し終わった遅い時間に、迷惑にならないように入口の近くで見学させてもらった。
ピカピカに磨き上げられた厨房は、整然としてごみ一つない清潔な空間だった。小島さんと少しお話をして、写真を一枚撮らせてもらった。その会話の中で、どうしても聞きたかったことをひとつだけ聞いてみた。
プティ・フール
記念日のプレート
小島景シェフ
ブノワのシェフだった頃、毎朝鎌倉で野菜を買って、それを2袋ほど抱えて電車で通勤していると聞いたことがある。毎朝、自分で確認した野菜を使うというところに感銘を受けたのだが、それはビストロブノワだからできたことなのかもしれない。ベージュ アラン・デュカスはアラン・デュカス氏の名を冠したガストロノミーだ。ブノワと同じようにはできないのではないか。この質問をぶつけた時、小島さんは、「まだやってますよ」と当然のように答えてくれた。ベージュ アラン・デュカスのシェフが毎朝自分で野菜を買ってくる。他の高級店ではありえないことだと思う。長年続けるということだけでも大変な苦労があるはずだ。
ベージュ アラン・デュカス東京は、シャネルとアラン・デュカス氏がコラボレーションするレストランだ。その中にあって、小島さんの個性やこだわりはしっかりと主張されていた。小島さんがスーシェフをしていた三ツ星店ルイ・キャーンズの影響もあるようだし、思った以上にやりたいことがやれているという印象を受けた。
■店名:ベージュ アラン・デュカス 東京
■住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング10F
■電話:03-5159-5500
■営業時間:11:30~14:30、18:00~23:30(L.O.21:30)
■定休日:月曜日