最近では角ハイボールがブームになっていて、ウイスキーは安くてうまいというイメージもあるようだ。確かに昔と比べると、外国のウイスキーも適正価格で手に入るようになったし、高級なウイスキーでさえ、かなり身近な存在になってきた。スコットランドに行った時、現地のバーで特別な扱いを受けているジャパニーズウイスキーがあった。ボトルの置かれた場所を見れば、一目瞭然。圧倒的な存在感。一つはサントリー山崎。これは文句なく特別なウイスキーで、日本でもジャパニーズウイスキーの代表格という定評がある。もう一つは、「響」。30数種類のモルトをブレンドしたブレンデットで、グラスゴーでお会いした稲富博士が作り上げた傑作だ。響30年、21年、17年とあり、ヨーロッパでも非常に高い評価を受けている。日本では山崎と比べて、まだそれほど知名度がないのかもしれない。響は、非常に緻密に計算されたブレンデットだが、普段飲むにはちょっと手が出ない高級な酒。味わいも重厚かつ華やかで、クオリティが高い。もう少し価格を抑えて飲みやすくはならないものか。そう思っていたところ、新製品「響12年」が発売された。実は昨日がその発売日だった。
この情報は前からキャッチしていて、バーで「響12年ください」と注文したこともある。そのくらい僕が期待していたウイスキーの、待ちに待った発売日。で、サントリーさんのご好意で、発売前に響12年を飲みに連れて行ってもらった。これがまた、17年や21年とは全然違うから面白い。梅酒樽のモルトもブレンドされているそうで、ほのかな甘みがある。しかもすっきりと飲めるのがいい。これは食中酒にピッタリだ。たぶん角ハイボールでウイスキー好きになった人が、次にワンランク上のウイスキーを求めるとしたら、この響12年になるのではないか。これもハイボールにすると面白い。僕の中では白州のハイボールが最高。響12年のハイボールは、それと並ぶほどの絶品だった。
会場は、シンガポール料理とウイスキーを楽しめる店「アンセンブル バイ マイ ハンブルハウス」。丸の内ブリックスクエアの3Fにある、アジアン・キュイジーヌだ。シンガポール料理を中心とした上質な料理で、発売されたばかりの響12年を楽しむことができる。響12年は、スパイシーな料理によく合う。そういう意味で、海月(くらげ)のスパイシーマリネ、茹で豚のスパイシーガーリック、ソフトシェルクラブのシンガポールチリソースの3品は、響12年をおいしく飲ませるためにあるような料理だ。
「花巻き」には揚げと蒸しの2種類がある。写真は揚げの方で、これがなかなかうまい。響12年は揚げ物にもよく合う。ある食事会で、中華料理にはどんな酒が合うか、という話題になったことがある。日本酒、焼酎、ワインはダメだろう。白酒は食中酒にはならない。ということで、候補はせいぜい紹興酒くらい。それでもベストマッチというほどのこともなく、やはりお茶が一番ではないかという結論になった。要するにあまりお酒には合わない。その理由の一つは、油っぽさにあるのではないか。響12年のほのかな甘みと、飲んだ後のスッキリ感は中華料理にも合いそうだ。特にハイボールで飲むと、炭酸が微かな甘みを引き立てて、油っぽさが消し飛ぶ効果がある。
美しい料理が並ぶ。さすがアジアン・キュイジーヌというだけあって、フレンチのようだ。ポークスペアリブのモチャハニーソースは、色使いが美しい一皿。芝海老とカシューナッツのゴンバオ炒めは、黒酢の酢豚のような印象だが、食べると芝海老という意外性が面白い。
最後はご飯もの。定番のナシゴレンと、海南チキンライス。ご飯ものはアジア料理らしい品がならぶ。響12年を、様々な飲み方で飲ませてくれるこの企画。オレンジジュースで割ったり、それにミントの葉を潰して入れたり。ソーダで割ったり、トニックウオーターで割ったり。もちろんストレートでも飲んだ。そんな中、一番しっくりと来たのは、やはりソーダ割り。いわゆるハイボールだ。これが飲みやすくて、次々と飲んでしまう。サントリーのプレミアムソーダと、氷のセットが隣に置かれた。これだと酒も進んでしまう。最近のハイボールブームが、角から響へと飛び火するような気がする。ワンランク上のハイボールが飲みたければ、まずは響12年を試してみるといいかもしれない。
■店名:丸の内 アンセンブル バイ マイ ハンブルハウス ANTHEMBLE by My Humble House [アジアン・キュイジーヌ]
■住所:東京都千代田区丸の内2丁目6-1 丸の内ブリックスクエア3F
■電話:03-5220-1923
■営業時間:月~水11:00~23:00/木~土・祝前11:00~02:00/日・祝11:00~22:00
■定休日:無休
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