僕がプロデュースしたイベント「でかけよう。Google プレイス Downtown in Tokyo with くにろく」。江戸の豊かな文化が残る下町エリアの食文化を楽しみながら、世界中の人々に伝え分ち合うというという壮大な企画。その記念すべき第1回目を門前仲町で開催した。昨年、Googleの人たちによばれて打合せと称した飲み会をやった。Googleプレイスでなにか面白いことはできないか。真っ先に思いついたのが、Googleプレイスを使って門仲を飲み歩くという企画だった。それがそのままトントンと進み、今回のイベントになった。門前仲町は古くから栄えた門前町。日本史上初の全国地図を作成した伊能忠敬は、測量の旅に出る前には必ず富岡八幡宮で安全祈願をしたという。それからちょうど200年後、地図つながりでGoogleプレイスのイベントを門前仲町ではじめることになるとは。なにかの縁を感じてしまう。
今回の企画は4人1組で5チーム。計20人が門前仲町の居酒屋を2軒ずつハシゴする。地元に縁のある人中心に僕の友達が10人、その他はGoogle関係の人やツイッターで応募してきた人たちだ。お店の選定からチーム分けまで企画者である僕が行った。説明会では、僕も簡単にイベントについて話をさせてもらった。
今回選んだ店は魚三、大坂屋、だるま、浅七、山喜利など有名店ばかり。でもほんとうに面白いのは小さな名のない店たちだ。ちょっとした小道に入って見つけた小さな店。こういう店を自分で発見して飲み歩くのが門仲の魅力。その時の感想を友達と共有したければ、地図と連動したGoogleプレイスが一番簡単に使える。だからGoogleプレイスと下町とは実はものすごく相性がいい。スマートフォンを持って下町にでかけよう!こういう呼びかけをしたかったんだが、どの程度伝わっただろうか。
今回は入門編ということで知名度のある店の中から、門仲らしい店だけをリストアップしてみた。これ以外にもいい店はたくさんあるが、世に知られていない店は今まで通りそっとしておくのがいい。自分で見つけるからこそ飲み歩きは楽しいし、門前仲町とはそういう町なのだ。
基本ルールは、①お店に入ったらGoogleプレイスでチェックインする、②お店を出たらレビューを書く、③他チームの行った店は入店禁止。③はかなり厳しいルールだが、この制限のおかげでスリリングな飲み歩き(そんなものがあろうとは・・)になった。
他チームがチェックインしたかどうかはGoogleプレイスの画面でわかる。それだけでなく、他チームが今どこを歩いているかまでわかるのだ。同じ店に向かっているのかどうか、先回りができるのか、目的地を変えた方がいいのかなど戦略が必要になる。Googleプレイスのおかげでゲーム性の高いイベントになった。
ちなみにレビューは、①お店について気に入った点と、②一番おいしいと感じた料理や飲み物などについて、③愛情を持って完結に書くといい。そういうレビューは他の人の役に立つ。
僕のチームは、今回のイベントの責任者Negoroさんと、早稲田関係のお二人。食に関心のある、これから本格的に飲み歩こうという人たちだ。打合せの時には「お店の取り合いになったらどうしよう」という話もあったが、「いや、ダラダラと始まるでしょうね。そんな緊張感はないですよ」と言っておいた。
でもいざ始まると僕とNegoroさんが真っ先に走り出していた。横断歩道を走って渡り、僕らと同じく「だるま」を目指して先行するチームに追いつこうと必死だ。でも残念ながら先にチェックインされてしまった。「なんだよ、大人気ない!」と叫んで敗走したのは主催者チーム。どっちが大人げないんだか。いや向こうも十分大人げなかった。
そのまま目的地を変えて、「浅七」に向かう。Googleプレイスで見る限り他にこの店に向かうチームはなさそうだ。すんなり浅七に入ることができて、小上がりに座ることができた。ようやく居場所をみつけてほっと一息。熱燗を飲みながらNegoroさんと「いい企画だよね~」と二人で自画自賛。自分の考えた企画でここまで熱くなれるとは。きっとみんなも楽しんでくれていることだろう。
そんな話をしていると、入口の戸がガラリと開いて他チームの人が顔を出した。Mさんとのむのむさんたちの酒豪チームだ。居酒屋経験豊富なこの二人も、門仲を代表する本格居酒屋に狙いを定めていたようだ。残念ながら今回は一緒に飲むことはできない。先にチェックインした我々の勝利。せっかくだからゆっくり飲んでいくことにしよう。
浅七にはいくつかルールがある。お酒の最初の注文はそれぞれが注文しないといけない。料理も一人ずつ注文。他の客とのお酒のやり取り禁止、お酒の飲めない人や他店で飲んできた人はNG。口うるさいようだがこんなのは当たり前のこと。「他店で飲んできた人はNG」なので、浅七は1軒目にしか行けない。こういう細かいお店ルールもイベントに深みを与えてくれた。酒は大七800円、〆張鶴850円など。全員熱燗だ。まぐろづけ600円、穴子にこごり600円、豆腐揚げ出し500円、大根揚げ出し500円、小松菜煮浸し500円などを注文。21時までに2軒行けばいいので、20時までゆっくり浅七を堪能することにした。
飲みながら次の店の作戦を練る。20時過ぎると少しずつ他チームに動きが出てきた。リアルタイムで人の動きが分かるなんて、面白すぎる。わさわさと人が動き出して、僕らが狙う店に近づいてくるチームもある。1チーム2軒まわるので合計10軒。でも用意された店は11軒しかない。余裕が1軒しかないので、次の店を逃すと厳しくなる。こうしてはいられない。次の店は大行列店「魚三」に決めた。1階から4階まで居酒屋という魚三富岡店だ。〆の茶そば800円をさくさく食べて目的地へと向かった。ここまで楽しいイベントだったとは、企画者本人が考えた以上だった。
魚三にはまだ誰もチェックインしていなかった。門前仲町で一番有名な店だが、常時大行列ということで敬遠されたのだろうか。この行列に並ぶのはリスクが大きい。店の前に着くと、やはり10人くらい行列していた。魚三は1階と2階のカウンターが人気だ。それでも昔は20時過ぎると席が空いたものだが、この日は全く望みがない。
仕方なく階段を上がると、2階席にも行列していた。僕はそのまま3階に向かった。3階の扉が開いて入れ替わりに出てきたお客さんが「今日は駄目ですよ、予約してないと入れない」と教えてくれた。でもここまでは僕も想定していた。かまわず中に入っておばちゃんを呼んで相談してみる。「1時間だけあく席があるから、それでもよければいいよ」とのこと。
ちなみに僕にはカメラが付いて回っていて、食べたり飲んだりを撮影する予定になっていた。でも浅七も魚三も事前に確認したところ撮影はNG。OKだったのは最初に逃した「だるま」だった。ダメもとでおばちゃんに聞いてみた。「大きいカメラなんですけど、これで食べるとこ撮ってもいいですか?」。これはあっさりOKがもらえた。自分たちしか撮らないということで許してもらえたようだ。
まずは4~5名用の魚三刺し盛り(7~8品)4,000円。このボリュームと質の高さは魚三ならでは。お得感がハンパない。つぼ焼430円、生うに630円~、そして大学院生Shimodaさんのリクエストでかきフライ320円、あなごフライ330円などの揚げ物、Shimodaさんが大好きという白子250円、白子豆腐630円も注文した。〆は名物のスペシャル530円。ここまででもう時間がなくなってしまった。大量に残った刺し盛りはNishimuraさんがきれいに平らげてくれた。Googleプレイス上ではみんなの動きが活発になっている。僕らも最後の集合場所「鶴来」に急いだ。
主催者チームでありながら、浅七と魚三という門仲を代表する2店をこなした我々のチームは間違いなく勝ち組だ。でも「鶴来」に着いたときに他チームの話を聞くと、皆それぞれに大満足の時間を過ごしていたことが分かった。
例の酒豪チームはあの後、「下総屋」で奥からどんどん貴重な酒が出されて恍惚の時間を過ごしたという。どるふぃんさんとikukoさんの地元チームは、辰巳新道の「ゆうちゃん」を堪能したようだ。最初に「だるま」で僕らを振り切った大人げない、【ど・みそ】の斎藤さんとB-1グランプリ事務局長ぶれいぶさんのチームは、だるまからバーに流れるという大人の選択。キチンと仕事をこなすのはさすがだ。すべて終了してからみんなと4次会に向かったらしい。
でも最終的に勝ち組だったのは、1時間も集合時間を遅れて帰った来たpochiさんとMikasaさんの森下チームだろう。魚三高橋店と山利喜のハシゴというゴールデンコースをこなし、集合時間を忘れるほどの満喫ぶり。たぶん彼らがこの日一番の勝者だった。
メンバー選考は我ながら上手くいった。皆さんのおかげで全員が楽しい時間をすごすことができたと思う。20人という人数もちょうどよかったのではないか。Google+(グーグルプラス。最近みんな「ぐぐたす」と呼んでいる)上ではこのメンバーで「Google プレイス 門前仲町 with くにろくのサークル」もできた。今後このメンバーを核にいろんなイベントをやっていきたいと思う。
(1軒目)
■店名:浅七 (あさしち)
■住所:東京都江東区富岡1-5-15
■電話:03-3630-3127
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(2軒目)
■店名:魚三酒場 富岡店
■住所:東京都江東区富岡1-5-4
■電話:03-3641-8071
■営業時間:16:00~22:00
■定休日:日曜・祝日
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(3軒目)
■店名:鶴来 (つるぎ)
■住所:東京都江東区富岡1-4-8
■電話:03-3630-2393
■営業時間:18:00~翌3:00
■定休日:月曜日
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