関西国際空港から宿泊先のホテルに向かう前に、ご飯を食べていくことにした。関西で定宿にしているホテルは大阪にあるのだが、チェックインまで少し時間がある。直接ホテルに行くよりもどこかに寄り道した方が面白そうだ。昨年は有馬温泉まで足をのばした。今年は大阪府池田市の自然食レストラン「ばんまい」に行くことにした。
ばんまい定食
ちらし寿司。鯖と穴子が隠れていた。
関空から何度か電車を乗り継いで池田駅にたどり着いた。池田駅の駅前は商店街になっていて、大阪の都心とは違った賑わいがある。店先で売っていた冷やしあめ90円を買って飲んでみた。この日はものすごく暑かったので、ひんやりと冷たい冷やしあめはいっそうおいしく感じる。生姜が効いていたせいか、飲み終わった後は逆に体がポカポカと温まってくる。たこ焼きやお好み焼きの店もあった。チェーンでない地元の小さな店だ。こういう店の方が興味深いものだが、今回は時間がないので残念ながら食べて行くことはできない。
池田駅前の商店街を歩いていると、関西らしい雰囲気がどういうものか分かるような気がした。池田市は大阪の一番端なので大阪らしさとは少し違うのかもしれないが、大都市にはない関西の雰囲気に触れることができたような気がする。
池田駅から「ばんまい」まではけっこう歩かないといけない。ランチの時間を過ぎそうだったので飛行機を降りたときに電話を入れておいた。到着予定時刻とメニューを告げると「取っておくので大丈夫ですよ」とのこと。その予定時刻に着くかどうか際どい時間になっていた。というのも、旅行カバンをゴロゴロ転がしながらいったい何分くらいかかるのか、はじめて行くので時間が全くよめない。炎天下の中、汗をダラダラと流しながら足早に店に向かった。
「ばんまい」とはタイ語で「木の家」という意味。その名の通り木に囲まれたような店だ。レストランは2階にあった。1階は「やさいの広場」という有機野菜と無添加食品を扱う八百屋さん。2階で扱う食材も1階のものを使っているらしい。鶏、豚、牛、卵なども抗生物質や遺伝子組換えでないエサで育てられたものを使用する。魚はできる限り養殖ではない旬の魚。とにかく食材にこだわっている店だ。
オーガニックビール
ごぼうのココアケーキ
暑い中を歩いてきたので、とりあえずビールが飲みたくなった。オーガニックビール525円を注文。店内は変な装飾のないサッパリとしたつくりで、テーブルや床は木製。コテージのような印象だ。この落ち着いた雰囲気の中で飲むビールはじんわりと身体を癒すような心地よさを感じる。あー、生きててよかった。この夏はこんな心地よいビールを何杯も飲んだ。
本日のばんまい定食は、メインを2品から選ぶ。この日はカラスガレイのホイル焼きと、ちらし寿司だった。ご飯は玄米、黒米、小豆入り。それから小鉢が2品つく。小鉢は八宝菜と、ナスの煮浸し。その他、お吸い物、果物、香物と盛りだくさんの内容。これで1,260円は安いと思う。
料理はいたってまじめで、煮干しや鰹節、昆布などで丁寧にダシをとっている。化学調味料なんかは一切使っていない手作り感あふれる料理だ。味付けは薄く、塩や砂糖も控えているので、外食に慣れた人には物足りなく感じるかもしれない。我が家は奥さんが有機食材とか調味料とかにこだわっているので、外でこういう料理を食べるとホッとする。今回の旅行でいろいろと身体に悪そうなものを食べてきたので、まともなご飯を食べて身体がリセットされた気がする。
食後は有機コーヒー(お菓子付)400円を注文。シュタイナーが提唱したバイオダイナミック農法で育てられた珈琲豆を使用しているとのこと。飲み物には日替わりのお菓子がつくが、せっかくなのでケーキも食べることにした。ごぼうのココアケーキ400円は乳・卵不使用。これはまあ、ごぼうのココアケーキだなというそのままの味。中目黒の「ポタジエ」みたいなハイセンスな感じではないものの、素朴で素直な味だ。
やさいの広場
帰りに1階のやさいの広場も覗いてみた。近くに住む人たちだろうか、何人かが野菜を買い求めている。こういう店が近くにある池田市の人たちが羨ましい。僕の住んでいる文京区では、今年少なくとも2軒、自然食品を扱う店が店を閉めた。けして需要がないわけではなく他の事情もあるんだけど、人口の多さに比べてこういう店の数はあまりにも少ない。やさいの広場のような店がうちの近くにもあるといいのになと改めて感じた。
■店名:自然食レストラン「ばんまい」
■住所:大阪府池田市鉢塚3-15-5
■電話:072-761-0064(0120-71-0064(近畿圏のみ))
■営業時間:11:30~16:00 (ランチタイム:11:30~14:00、土日祝11:30~14:30、ティータイム:11:30~16:00)
■定休日:無休
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