北九州空港に着くと小倉行きのバスが出るところだった。急いでバスに飛び乗りそのまま小倉駅に向かった。飛行機は朝早い便だったので午前中いっぱい時間がある。小倉駅で電車に乗り換え門司港に向う。観光をしてから実家に帰ることにした。
門司港レトロは20年くらい前にオープンした新しい観光地。若い人や家族連れが多く、いつも何かしらイベントをやっている。門司港はバナナの叩き売り発祥の地ということで、叩き売りの実演も見ることができる。
いい時間になっていたので昼食の店を探すことにした。いつもながら事前に下調べなどはしていない。旅行では店を決めずに街をふらふらと歩いて、いろんなところを覗いてみる。そして気分の合う店に飛び込むのだ。
門司港だから、ここで食べる魚はうまいだろうと期待して来たのだが、魚料理を出すような店はあまりなさそうだ。観光地として整備され過ぎていて、地元の古い店も少ない。僕が歩いた範囲だけだがそんな印象を受けた。
回転寿司の「海人(かいと)」はふぐの卸し会社が経営する店だ。中に入ると満席だったのでしばらく待つことになった。掲示物とかパンフ類を見て時間を潰す。その日に揚がった新鮮な魚を出しているらしい。これは期待できそうだ。
下関や門司などではふぐのことを「ふく」という。正確なことは分からないが、たぶん「福」と音が同じだから縁起がいいのだろう。ただし門司でも「ふく」と「ふぐ」は混在していた。同じ店の中でも混在していたくらいだから、この言い方もなくなっていく運命なのかもしれない。
まずはその「ふく」をいただくことにする。ふぐ3味軍艦630円は、白子の炙り、ふぐ皮、すき身の3種。これはさすがにうまい。他に特別うまかったのは、いろいろ軍艦530円(生ウニ、イクラ、ねぎトロ)、鯛、ウニなど。鯛は瀬戸内海側が名産地だからうまいのは当然かもしれないが、何故かウニまでうまかった。
山陰の赤いか290円は柚子こしょうをつけて食べる。下関産のうちわ海老とか莫久来(ホヤのこのわたの塩辛)とか他にも魅力的なものがいろいろとある。
広島産のカキフライ(3ケ)380円は安い割に非常にうまいので、珍しくおかわりをしてしまった。それに味を占めて注文した、とらふく唐揚げ840円は値段の割りに食べるところがほとんどなくて、やや不満。酒は大分の酒、西の関のにごり530円にした。茶碗蒸し、あおさの赤出し190円など調子に乗って追加注文したが、どれも回転寿司の水準以上だ。
注文は紙に書いて店員さんに渡すシステムになっている。回っている寿司もあるが、ほとんどの人が新しく握ってもらっていた。値段も普通の回転寿司よりは高めだが、ネタのよさを考えればまずまずだと思う。
観光用のトロッコ列車「潮風号」に乗って出光美術館に行った。実は出光美術館には歩いて5分ほどで行ける。潮風号に乗ったのはそれ自体が目的だった。終点まで行ってもたいした時間は掛からないし、何よりこのトロッコはなかなか面白い。トンネルをくぐる時に天井いっぱいに光る魚のディスプレイが現れた時には歓声が上がった。いろいろな工夫で楽しませてくれるのだ。
帰り際にカフェに入った。門司港は古い建物が残っていて、今でも使われていたりする。まだまだ見るべきものはあったが、時間が足りなかった。本格的に観光する気で来れば、丸一日かかりそうだ。
■店名:廻転寿司 海人
■住所:福岡県北九州市門司区港町3-3
■電話:093-322-5522