福岡に帰省したので、「ミシュランガイド福岡・佐賀2014特別版」で三ツ星を獲得した「嵯峨野」に行くことにした。創業48年だが、建物は改築して4年ということで、隅々まで綺麗でいろいろと行き届いている。こういう店では当然だが、他のお客さんと顔を合わせることは一切ない。玄関からそのまま真っ直ぐに奥の個室に通された。お昼ということで料理は軽め。サービスもたぶん夜ほどは力が入ってないのだろう。それが返って、旅行中の身としてはありがたい。
小さな庭がある広々とした和室で3人での食事。福岡に帰るとよく一緒に食事に行く、トマ子さんと友人のYさん。まずはお茶を飲みながら近況報告。前回3人で行った小倉の「佐藤」も星を獲得した。星に縁のある3人なのだ。
※嵯峨野 福岡(くにろく 居酒屋探訪記)
夜は「夕膳」ということで、15,000円、20,000円、25,000円と3種類ある。お昼は「昼膳」で、椅子・テーブル席での「嵯峨野 松花堂」4,000円と「ミニ会席」がある。ミニ会席は会席料理をお昼向けにコンパクトにまとめたもので、7,000円と10,000円がある。この日はお昼なので10,000円のミニ会席でお願いした。
まず最初に出されたのは、何やら歌が書かれた冊子の上に先付が3品乗っている。山芋ととんぶり、くるみのつや煮、あん肝ポン酢。小さいけどしっかりと味付けされていて、どれもおいしい。これを食べただけでも、普通の店とは違う雰囲気が伝わってくる。
煮物椀は、なんとも滋味深い味わいがある。安定感を感じるおいしさだ。
お造りは、マグロ、タイ、ヤリイカとウニ、ワサビの下にあるのはおきゅうとだ。「おきゅうと」というのは、昔から博多で食べられている海藻を固めたもの。器の一つ一つに漢字一文字が書かれていて、花、鳥、風、月、雪となっていた。中国の「風花雪月」と、日本の「花鳥風月」を合わせたものだろうか。
京都の料亭なら何でもひとつひとつ教えてくれるところだが、博多だからか、昼だからか、料理やお皿の説明は特にない。僕は旅行中なので、その方が気が楽でリラックスできたけど、いろいろと仕込まれている割に説明が何もないというのもむず痒いものだ。
焼き八寸は、サワラの味噌あえ焼き。イノシシの器を開けると中にはイクラ。紅葉と新米を揚げたものが添えてある。なかなか世界観のある一皿だ。
お昼だからノンアルコールでいこうと思っていたのだが、さすがにこれだけうまい肴が出てくると、もう我慢はできない。糸島の純米酒「田中六五」をお願いすると、桶の中に氷をいっぱいに入れて持ってきてくれた。
温かい酢の物は、ほうれん草としめじ。その後は食事となった。
水菓子は、ラフランスとザクロ。甘味は、栗きんとんだった。最後にお抹茶をたててくれて、これでシメだ。お昼にしてはかなりボリュームもあって、ゆっくりと出してくれるので、時間を忘れて楽しむことができた。10,000円でこの内容であれば割安感があると思う。でもこういう店はやはり夜に来ないとなんとも言えないものだ。次回は何としても夜、再訪したいと思う。
■店名:嵯峨野
■住所:福岡市博多区住吉2丁目21-19
■電話:092-271-5745