「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」や「ターブル ドゥ ジョエル・ロブション」の元シェフ飯塚氏が2011年に開店した「レストラン リューズ」。ミシュランガイド東京で二ツ星を獲得した、たぶん今一番勢いのある店の一つだろう。フレンチの巨匠ジョエル・ロブションから学んだことを自分の店でどのように活かしているのか、ロブションとは違う飯塚氏の個性とはどんなものなのか。などなど、いろいろと想像を膨らませながら訪問した。
コースは「Ryuzu」19,000円~。「ブルーオマール・鱧・天然アワビ・セップ茸・短角牛を取り入れたシェフのお勧めコース」とのことだ。最高級のオマール海老、ブルーオマールやセップ茸といえば、高級フレンチならではの食材だが、そこに「鱧」とくれば、ちょっと毛色の違う予感がする。
アミューズは「かぼちゃのエスプーマ」。パンがおいしいので、まずはひと安心。やはりフレンチはパンがおいしい方がいい。僕にとっては大事なポイントだ。
店内は広くはないが、席の配置が工夫されていて、周りの席が気にならない。これはロブションに行ってもいつも感じることだが、座席の間隔とか角度や目線などはレストランにとってすごく大事なことだと思う。
前菜のオマールは半生くらいの火入れで、バニラの香りがする。コースの最初で食欲と期待感が高まった。鱧のてんぷらはピクルスと合わせて食べる。コリンキーがうまい。これは和食店で出てもおかしくないほど和食に近い料理だ。フォアグラのソテー。プラムと梅のジャム。色合いもいいし、フォアグラにぴったりのソースだ。
島根の天然アワビとポルチーニ茸。なすのピューレ。宮城の短角牛とトランペット茸。塩胡椒のシンプルな味付け。この店は野菜がおいしい。野菜自体がおいしいというだけでなく、野菜の使い方がうまいのだろう。旬の食材のおいしさを活かした素材感のある料理が多く、たぶんフレンチにそれほどなじみのない人でも違和感なく食べることができると思う。かなり日本人が好きそうなフレンチだ。食材や技法も和食に踏み込んでいるという印象がある。
ピニャ・コラーダのアイスクリーム、バジルのシャーベット、ココナッツミルク。ピニャ・コラーダはココナッツミルクを使ったラムベースのカクテル。デラウエア、巨峰、マスカット。ハーブ、メレンゲとミントのアイス。デラウエアはワイン用ブドウ品種。
最後のコーヒーがすごくおいしくて、食後の満足感を高めてくれる。料理はボリュームがあり満足度が高い。この内容であれば、20,000円のコースでも特に高いとは感じない。全てにおいて高いレベルでそつがなく、二ツ星は取るべくして取ったという印象。間違いなく最近で一番のフレンチだった。
■店名:Restaurant Ryuzu (レストラン リューズ)
■住所:東京都港区六本木4-2-35 アーバンスタイル六本木B1
■電話:03-5770-4236