新型コロナウイルスの影響でしばらくは過去記事です。千駄ヶ谷の「ホープ軒」。この店は僕の食べ歩き原点のような店だ。我が家の墓がこの近くにある関係で、昔から東京に来たらこの店をいつも見ていた。今でも墓参りの時にはホープ軒の前を必ず通る。常に隙あらば寄って行こうと思うのだが、千駄ヶ谷の次は青山の墓に行くのがお決まりのルートなので、どうしても素通りすることになる。そんなわけで、昔から大好きな店なのだが、ラーメンを食べるのは年に1回くらいだと思う。
ホープ軒の歴史についてはよく知られているが、もう一度書いておきたい。屋台「貧乏軒」を難波二三夫氏が開業したのが1934年。その後、「ホームラン軒」などを経て、「ホープ軒」として貸し屋台を始めた。なんと103台もの屋台を貸し出していたらしい。その時、屋台を借りていたのが千駄ヶ谷「ホープ軒」の創業者だ。千駄ヶ谷ホープ軒からは、環七の伝説となった「土佐っ子」や、「らーめん香月」、「弁慶」などの人気店が生まれていった。この系統は、東京の豚骨醤脂ラーメンや、背脂チャッチャ系のルーツとなったが、背脂を入れたのは千駄ヶ谷ホープ軒が初めてだそうだ。
今のホープ軒のラーメンは、背脂が少なくて、正直物足りなく感じる。この写真の時もデフォルトのラーメンで、背脂はあまり浮いていない。前回、「脂多め」でお願いしたところ、昔食べたホープ軒の味にかなり近くなった。やはり今回も脂多めにしておくべきだったかも知れない。
ホープ軒は3階まで客席があって、昔ほどではないが、脂でぬるぬると滑りやすい階段を上っていく。1階は立ち食い、2、3階は椅子席になっている。ラーメンは1階で作って、小荷物専用昇降機(小さな食品用エレベーター)で上階に上げる。
この店のお茶はジャスミンティーだが、これには何度も助けられた。学生時代、ラーメンが脂っこ過ぎて食べ切れなくなった時、ジャスミンティーを飲んで気分を変えてなんとか食べ終えることができたものだ。
タオルのサービスもありがたい。食べ終えた後は手が脂でギトギトになるので、帰り際にタオル入れからタオルを取って、念入りに手を拭くのは毎回の儀式のようなものだった。これら独自のサービスは、ホープ軒ならではのよく考えられたものだと思う。
ホープ軒は、24時間営業、年中無休だ。今も通常通り24時間営業しているが、この御時世なので、1階の立ち食いで済ませるのがいいかと思う。
「ラーメン」(800円)。ネギは自由に好きなだけ入れることができる。
麺は太麺でやや角ばっている。この独特の麺がホープ軒らしさだと思う。
「ワンタンメン」(1,050円)。ネギが山盛りでワンタンメンかどうかも分からないほどだ。
ネギ、ニンニク、辣醤などは入れ放題になっている。辣醤は味噌に刻み唐辛子を入れたもの。
■店名:ホープ軒
■住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷2-33-9
■電話:03-3405-4249