平尾台は鍾乳洞で有名なところだ。子供の頃何度か遊びに行ったが、併設されたアスレチックがかなり本格的で、どちらかというとそちらの方が楽しみだった。半年前にも行ったばかりだが、その時は鍾乳洞に入るのが目的だった。大人になって来ると新たな発見もあってなかなか面白い。今回はおいしい蕎麦屋があるから食べに行こうという両親の誘いで行くことになった。
車は何もない山道を走る。山道というと生い茂る木々の下、木漏れ日を浴びながら・・・・・・みたいなイメージがあるかもしれないが、この道には木なんかほとんどない。右も左も何もない丘のような場所で、ただ曲がりくねった道があるだけだ。気持ちよく晴れ渡った広い空と遠くに見える山々。石灰岩が所々顔を出した平尾台ならではの山はだ。そんなあっけらかんとした風景以外には何もない山道を登っていく。対向車もほとんどない。この日は連休の中日だったから、それほど人は来ないのだろう。
しばらく山道を登っていくと、蕎麦処「えん」が見えてきた。うちの両親が最近よく来るというおすすめの店だ。こんな遠くまで孫を2人も連れてくるのだから、まだまだ体力がある。そしてもちろん食欲も衰えていないということだろう。
「えん」の蕎麦は細くてコシはあまりないタイプだが、味わいはなかなかのものがある。「天ぷらそば」(1,300円)には、柿、ゴーヤ、ししとう、パプリカ、サツマイモ、よもぎなどの天ぷらが付いている。基本的にこの近くで採れたものを出しているようだ。
デザートに「そばがき」(700円)も注文した。この店で絶対に食べておくべきものといえば、蕎麦よりも、むしろこの「そばがき」かもしれない。普通のそばがきとは違って蕎麦の強い香りがしない。お店の人に聞いたわけではないのでよく分からないが、山芋か何かを混ぜている感じがする。きな粉もおいしくて、そばがきに合う。
姪はこのそばがきが大好きで兄の分までもらって、「おいしい、おいしい」と夢中で食べていた。この味であれば、東京でも人気が出そうなくらいだ。この日のきな粉は阿蘇久木野産と平尾台産の2種類。帰り際に見かけた店内の掲示にそう書かれてあった。
そばを食べた後はデザートを買いに行った。パティスリー ニコ(patisserie nico)という店で、こんな山道の途中にある店なのに、かなり繁盛している。今年福岡店をオープンさせたらしいが、本店は平尾台だ。ここも姪のお気に入りだそうで、エクレアとかシュークリームとか、いくつか購入して帰ることにした。
こんな山道の途中にもいい店はあるし、わざわざ食べにくるお客さんもたくさんいる。蕎麦処「えん」も予約しないと入れないほどの人気だそうだ。実家に帰るといつも食べ歩きをするけれども、個性的な店は日本中にあるんだなと、地方の元気にはいつもほっとする。
■店名:蕎麦処 えん
■住所:福岡県北九州市小倉南区平尾台2-8-7
■電話:093-452-0354