「南房総の皿までなめろうプロジェクト」 捕鯨 和田浦

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関東唯一の捕鯨基地、和田浦。捕鯨基地は日本でも5港しかないというから、意外と少ない。年間26頭のツチクジラが水揚げされる。捕獲された場合は鯨の解体を見ることができる。今回は鯨はいないが、和田浦の捕鯨基地を見学させてもらった。
和田浦
長さ十数メートルあるだろうか。これは巨大なまな板のようなもので、周囲に固定用のフックが用意されている。板の表面には細かな傷が無数に付いている。解体といっても、もう血は出ないという。意外と殺伐とした感じでもなさそうだ。一度見学させてもらうと面白いかもしれない。
潮風王国
潮風王国
その前にちょっと、「潮風王国」という道の駅に立ち寄った。ここはど真ん中に水槽があり、およそ道の駅とは思えない雰囲気だ。道の駅自体が「房州ちくら漁協」が直営する販売所になっている。サザエ、アワビ、岩ガキ、はまぐり、伊勢海老など、地産のもの中心に販売されている。
船
海
外に出ると、ちょっとした公園のようになっていた。目の前に船が泊まっていて、横に回りこむと、目の前がすぐ海だ。なかなかワイルドな道の駅だ。なかなか見所も多いので、ちょっと休憩するにはちょうどいい。僕の目的は、実はビールだった。同じく我慢の限界だったジュネさんと2人で、クラフトビールで乾杯。そろそろ夕方なので、アルコールもいいだろう。
くじら料理と月見の会
くじら料理と月見の会
夜は、和田浦の「鯨おかみさんの会」が、鯨料理を提供している「くじら料理と月見の会」に参加する。その前に近くにある「くじら料理 ぴーまん」に立ち寄った。女将さんの鯨レクチャーと、「ぴーまん」のマニアックな鯨料理のを見学するためだ。料理は刺身、てんぷら、串かつ、佃煮などバリエーションが多い。鯨の種類も多く、たぶんここで食べれない鯨は、日本では食べることができないのではないか、というほどだ。
鯨弁当
鯨肉
鯨のヒゲ
「くじら料理と月見の会」がはじまった。ちょっと早めに来たのだが、会場は既にすごい賑わい。行列に並んで、くじら弁当を購入した。これはクジ付きで、先程の「ぴーまん」の女将さんが販売していた。クジはハズレがガないようで、とにかく全員何かが当たる。僕が当たったのはカレンダー。ちゃんと来年のカレンダーだった。中島さんはなんと、鯨のヒゲを引き当てた。やはりこういうのを当てないといけない。今では鯨の肉を食べる機会はほとんどない。昔、給食で出ていた鯨の竜田揚げが懐かしい。この弁当のメインも竜田揚げだ。鯨の刺身もちょこっと頂いた。鯨の風味は鯨にしかない。時々食べれる程度に一般的にならないものだろうか。
月見の会
月見の会
地元の高校生のダンスやゲストの演奏などイベントが続く。我々は生ビールと地酒を飲みながら芝生で談笑。生ビールを買って戻ると、何やら円陣を組んで話し込んでいる。その中心には、あの熱い男、中島さんがいる。今回のツアーや南房総の観光プロモーション、なめろうの売り込み方になどについて、ブロガーに相談している。中島さんにはもう何かが見えているようだったが、最後にこうして語り合うと、一体感が生まれる。
海
海
我々は今、すごい場所にいる。海はやや荒れかけていて、左右で海の表情が全く違う。こんな海の際で地元のお祭りが行われている。地元の祭りにしては、参加者が多く、ものすごく活気がある。和田浦は、多くの人を引きつける魅力のある土地だ。
食は地方に活気を生む。今回のツアーでも、「なめろう」を中心とした南房総の食文化には圧倒されっぱなしだった。なにも東京の人に宣伝しなくても、地元の人だけでひっそりと食べ続ければいいじゃないかという意見もある。でも実は、地元の人が「なめろう」を食べなくなってきているのが一番の問題だという。くじら料理も、地元とは関係のないところで、いろんなことが起きている。様々な要因があって、昔から続いてきた地方の食文化が失われる危機がある。その危機感を早くから感じているのが、南房総市だろう。食文化を守るために、逆に攻めに出る。今回の南房総ツアーもその一環だ。その方向は間違ってはいないと思った。
「守るべき伝統はしっかり守り、変えるべきところは変えていく」という、地元の方の言葉が印象に残った。伝統の食文化を自分たちが変えていくということに、躊躇はないようだ。多くの人たちが、それぞれの立場で危機感を感じている。でもみんな表情は明るい。挑戦していこうという気概と一体感がある。「地方を活気づける」という意気込みで挑んだ我々が、逆に元気づけられて帰ってきた。東京駅から1時間半。こんな近い場所にすごい食文化があった。

新鮮な魚介と漁師料理が魅力の南房総市!

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