島根料理と竹下本店のお酒を楽しむ会

和食 寿司

「島根料理と竹下本店のお酒を楽しむ会」に参加させてもらった。主催は竹下本店。竹下登元首相の実家で当代13代目という造り酒屋だ。慶応2年(1866年)創業で、竹下登氏は12代目にあたる。会場は「主水(もんど)神田淡路町店」。カプリチョーザなどを運営する島根の企業RC・クリエイティブグループが手がける島根料理の店。島根の酒と郷土料理を東京の人たちに知ってもらおうと、竹下本店と主水(もんど)とがタッグを組んで今回の企画が開催された。僕はテーマの一つとして地方食を応援しているので、喜んで参加させていただくことにした。
会場には12人のブロガー、島根県関係者、主水関係者などが集まった。DAIGOさんも出席予定だったが、風邪をひかれたそうで残念ながら欠席。僕は当主竹下氏の隣り、目の前には奥様という席で、日本酒や島根の料理について興味深いお話を伺うことができた。RC・クリエイティブグループの社長が竹下氏のところに遊びに来て3人でお話する機会もあった。お二人は仲良しのようで、ざっくばらんにいろんなお話を伺うことができた。
縁の風(えにしのかぜ)
縁の風(えにしのかぜ)
縁の風(えにしのかぜ)
島根県には出雲大社や世界遺産に登録された石見銀山がある。出雲大社には行ったことがあるが、素晴らしい所だった。出雲大社に行くまでの道には案内の看板もほとんどなく(今はどうか知らないが)、普通の田舎の田んぼ道みたいなところに時々巨石がチラホラ落ちている。しめ縄で祭られていたり、無造作にそのままになっていたり。こんな場所ははじめてだった。とにかく素晴らしい「気」に満ちた土地で、古代国家がこの場所にあったというのもなんとなく頷けた。
松江城や玉造温泉などにも行きたいと以前から思っている。玉造温泉は、道後温泉、有馬温泉などと共に日本最古の温泉に数えられる。奈良時代の『出雲国風土記』にも「この湯で一度洗えば容姿が美しくなり、もう一度洗えば万病が全て治癒する」と(大体そんな感じの)紹介がされている。
島根は食についても興味深い土地だ。しまね和牛、出雲そばをはじめ独自の食文化がある。「主水(もんど)神田淡路町店」では、島根直送の食材を使った郷土料理がレギュラーメニューで並ぶ。東京では珍しい島根料理の店だ。この日出された料理もほとんど通常メニューにあると思う。まずは竹下本店の「縁の風(えにしのかぜ)」で乾杯。これは面白い酒なので、あとで詳しく書こうと思う。
あご野焼き、浜田の赤天、葉山葵漬け
左から、あご野焼き、浜田の赤天、葉山葵漬け
桜鯛の昆布締め
桜鯛の昆布締め
岩牡蠣
岩牡蠣
前菜は、あご野焼き、浜田の赤天、葉山葵漬け。「あご」とは飛魚のことで地酒を使った調味料は秘伝のもの。赤天は鱈のすり身に赤唐辛子を加えて天ぷらにしたもの。赤い天ぷらなので赤天という。葉山葵漬けは、島根県日原町・匹見町特産の山葵の葉を使ったもの。安蔵寺山から流れる綺麗な水で育った「沢山葵」は有名だ。
桜鯛の昆布締め。桜の花の咲く3~5月頃、産卵のために浅瀬に来るのでこの時期の真鯛は桜鯛と呼ばれる。この日の鯛は2日前に活き締めし、1日おいて熟成させたものを昆布締めにしている。昆布の塩味がつくので醤油を必要としないという料理長の技が活きた一品。
岩牡蠣はこの日のメニューにはなかったのだが、竹下氏が「岩牡蠣お好きですか?」と言われるので「はい」と答えておいたら、後ほどぞろぞろと立派な岩牡蠣が運ばれてきた。これは驚くほどにおいしかった。磯の香りがするクリーミーな岩牡蠣で、これほどおいしいものは久々に食べた。確かに島根にいけば食べれるんだろうけど、東京でこのレベルの岩牡蠣が食べれるというのが嬉しい。主水は島根の魚介を直送しているからこんな新鮮な状態で出せるんだろうと思う。
出雲誉の原酒、大吟醸、DAIGOボトル
左から、出雲誉の原酒、大吟醸、DAIGOボトル
縁の風(えにしのかぜ)
縁の風(えにしのかぜ)
日本酒は竹下本店の銘柄がズラリと並んだ。出雲誉の原酒、大吟醸、DAIGOボトルなど。大吟醸「我が道を行く」は山田錦100%使用、竹下家12代当主で第74代内閣総理大臣の竹下登氏の座右の銘だった「我が道を行く」をラベルにしている。これは竹下登氏の直筆。奥様の話によると、この書をラベルにして酒を出したいと生前登氏に相談したところ、自分が生きているうちはダメだということで許可が下りなかった。その言いつけに従い、登氏が亡くなった後にこのラベルを作成したという。
縁の風(えにしのかぜ)は、爽やかな純米酒。僕はこの酒が一番おいしかった。パワーストーンの聖地と言われる出雲「須佐神社」。竹下本店はその須佐神社に一番近い酒蔵だ。神社に奉納した日本酒を冷気が吹き出る「八雲風穴」に寝かせじっくりと熟成させたなんともありがたい酒なのだ。このセットは、須佐神社の七不思議のひとつ塩ノ井(山の中にあるのに塩分が含まれる井戸で、潮の満ち引きで水量が違う?ので海とつながっていると言われている)で清められた天然石と、おちょこ2個が付いている。天然石には、アメジスト(絆を深める)、ローズ(恋愛運UP)、水晶(運気UP)の3種類がある。インターネットの通販でも購入でき、女性に人気の商品になっているそうだ。
平田市 三津港漁師料理 主水名物 さばしゃぶ
平田市 三津港漁師料理 主水名物 さばしゃぶ
平田市 三津港漁師料理 主水名物 さばしゃぶ
島根黒毛和牛 イチボ肉ロースト
島根黒毛和牛 イチボ肉ロースト
出雲名物 割子そば
出雲名物 割子そば
仁多米土鍋炊き 頓原(とんばら)味噌の朴葉焼(ほおば)き添え
仁多米土鍋炊き 頓原(とんばら)味噌の朴葉焼(ほおば)き添え
平田市 三津港漁師料理 主水名物 さばしゃぶ。出雲市(旧平田市)の三津港の漁師さんが真鯖を船の上で鍋で煮て食べたのが始まりの漁師料理。醤油は島根の甘露醤油(再仕込み醤油)を使用。天然の昆布や乾燥貝柱を濃口醤油に漬け込み、再度仕込むことによって旨味が甘みを感じさせるというもの。鯖は非常に足の早い魚で、東京では全くと言っていいほどおいしい刺身に出会うことはない。〆鯖にするか、サバの味噌煮にするか、他の魚とは違って生で食べるよりも何らかの処理を施した方がいい。だから、さばしゃぶができるほどの鮮度で仕入れているというのは、東京ではあまりないことだ。
主水では、島根の魚介を直送しているが、鮮度の高さと鯖の質の高さがうかがえる。これを甘露醤油に軽く潜らせて食べるとなんともうまい。これは主水では絶対に食べておくべきメニュー。もちろんレギュラーメニューにある。でもできれば島根にいって現地でこれを食べてみたい。この日出てきた料理は現地で食べてみたいものばかりだった。主水の料理が素材を大切にするシンプルな味付けが多いということもあるが、やっぱりこういうものはとれた土地で食べてみたい。
島根黒毛和牛 イチボ肉ロースト。これはこの日一番の料理という人も多かった。ランプの近くの細かなサシが入った部位で、肉質が柔らかく、肉汁も豊富。火を通した生の状態で絶妙な火加減。いや、これはほんとにうまかった。
出雲名物 割子そば。出雲地方では重箱のことを割子と呼ぶ。昔は正方形の重箱だったが、四隅が洗いにくく不衛生ということで、明治時代から丸型の漆器に変わったという。特徴的なのはダシ汁のかけ方。普通はそばをダシ汁の中に浸すが、出雲そばの場合はそばの入った器にダシ汁をかけて食べる。
最後は、仁多米土鍋炊き、頓原(とんばら)味噌の朴葉焼(ほおば)き添え、宍道湖産しじみ汁。仁多米(にたまい)は、「東の魚沼、西の仁多米」と言われるコシヒカリのブランド米。魚沼地域以上に米作りに適した環境と言われている。田んぼを流れる流水の先は山葵が群生する場所。この美しい水の中、完全無農薬で人の手だけで草を取り大切に育てられている。
しじみ汁は宍道湖産の特大しじみを使用。味噌汁の中に旨味を出しやすくするため凍らせたしじみを入れ、弱火でふたが開くまでゆっくりと煮出す。そうすると味噌の塩分でさらに旨味が抽出され味噌味ともよく合うという。
僕は九州の出身なので車で島根に行ったこともあるが、東日本の人にとっては中国地方の位置関係は難しいかもしれない。島根県は日本海側にあって鳥取、広島、山口などと接する。日本海に沿ったかなり細長い県だ。それだけに魚介は素晴らしくうまい。東京でこういう料理が食べれるというのもすごいことだが、できれば現地で食べてみたい。一度、帰省がてら食べ歩きをしてみようと思う。

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T@ka.の食べ飲み歩きメモ(ブログ版)
しょうが焼きに恋してる
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【関連リンク】
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竹下本店
島根の味・日本海の幸 主水(もんど)神田淡路町店
島根県ホームページ

■店名:島根の味・日本海の幸 主水 神田淡路町店
■住所:東京都千代田区神田司町2-13 神田第4アメレックスビル 地下1階
■電話:03-3295-6177
■営業時間:昼:11:00~15:00(L.O14:30)、夜:17:00~23:00(L.O22:30)
■定休日:日曜日(日曜祝日の場合、翌月曜日)

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