アポロ バー 銀座

カフェ バー

アポロ
銀座コリドー街の向かいのビルに地下に下りる階段があった。ビルとビルの間、ちょうど側面にあるので入口は目立たない。このビルの地下に新しくバーができた。そもそもバーというものは、できるだけ目立たず、できれば普通の人がたどり着けないような場所に作るものだ。バー APOLLO(アポロ)はまだ開店して日が浅い。この場所にたどり着いた人はまだ少ないはずだが、足を踏み入れた瞬間、普通のバーでないことはヒシヒシと感じたことだろう。


ジンフィズ、ジントニック
左:ジンフィズ、右:ジントニック
アポロ
ジンフィズの赤い氷
アポロ
洋梨のカクテル
洋梨のカクテル
アポロ
APOLLO(アポロ)は、ジンフィズを名物にしている。ジントニックが名物というのはありがちだが、ジンフィズというのは珍しい。それも、どこでも飲めるような代物ではない。こだわりが違うのだ。
ジン、シュガーシロップ、ソーダ、マラスキーノチェリー。これがジンフィズの代表的なレシピだ。アポロの店主小松氏は、なるべく手作りで出したいという思いを抱いていた。シュガーシロップは既製品を使うのではなく、上質な砂糖やスパイスを煮詰めたものを手作りすることにした。ソーダは天然水にガスを注入する。
珍しいのは、マラスキーノチェリーが添えられていないところだろうか。ただ、普通のジンフィズと同じように、赤く丸いものがグラスの中に入ってはいる。触れてみると硬く冷たい。これは赤い氷だ。食べてみると微かに香るものがある。ハイビスカスとジュパニーベリーで作ったハーブティーを球状に凍らせたものだという。
確かにマラスキーノチェリーはそれほど食べたくなるようなものではない。それを思い切ってやめてしまった。ただジンフィズのイメージをなるべく崩したくはない。では、そのかわりに何を入れるか。思案の跡が伺えた。定番のジンフィズのイメージを踏襲しつつ、変えるべきところは変える。頑固な中にも柔軟な姿勢が見てとれる。このセンスはどう培ったものなのだろうか。
アポロ
アポロ
アポロ
アポロ
洋酒天国の豆本
小松氏は西麻布などでバーテンダーをした後、サントリーに入社した。各ブランドの飲食店における飲み方やレシピ開発などを手掛け、角ハイボールのレシピ開発などにも関わったという。ベテランのバーテンダーというだけでなく、商品開発のプロでもあるのだ。
会社を辞め、今年9月にアポロをオープンした。昔から集めていたレアなウイスキーや関連グッズなどもアポロには豊富に揃えてある。壁に飾られた写真や、棚に置かれたボトルや本などを見ていると、時々ハッとするようなものが置かれている。珍しい洋酒天国の豆本なんかも棚に飾られていた。コレクターの部屋に遊びに来たような心地がする。こういう物はいつまで見ていても飽きないものだ。
サントリーが東京に出てきた頃、赤坂の近隣さんに挨拶に行ったときに配った酒がある。もちろん非売品だ。そんなものの存在を今回初めて聞いた。もちろん見せてもらうのも初めてだ。何でこんなレアなものがここにあるのだろう。これは飲む対象ではなくて「お宝」だ。話をしているとそんなものが次々と出てくる。まったく、あきれるほどマニアックな店だ。
国産初の本格ウイスキー「白札」
国産初の本格ウイスキー「白札」
赤坂の近隣に配ったウイスキー
サントリーが東京に来た時に配ったウイスキー
ウイスキーづくり60周年記念
ウイスキーづくり60周年記念「創業 一八九九」
店名のアポロは、アーティストの登竜門として知られるNYのアポロシアターにちなんでいる。銀座のバーは閉塞的な店が多いが、バーとは本来、もっとカジュアルなものでなければいけないのではないか。バーの登竜門としてアポロを開こう。そんな思いがあったという。控えめな店主からは、そんな強気な発言は出てこない。カウンターでまったりと飲みながら、店主の話に耳を傾けていると、ぽつぽつと話をしてくれる。それらをまとめると、どうやらそういうことらしい。
天井が高いせいか、地下にありながら、広さ以上にゆったりとしている。店内に飾られているレアなボトルや写真がいい雰囲気を醸し出している。銀座で飲んだ帰り際、最後に寄って帰るのはこういう店がいい。今後何度も通ってしまいそうだ。
アポロ 銀座(くにろく 居酒屋探訪記)

アポロ 銀座
■店名:アポロ(APOLLO)
■住所:東京都中央区銀座8-2-15 明興ビル B1F
■電話:03-6280-6282
■営業時間:18:00~翌4:00、土曜日18:00~24:00
■定休日:日曜・祝日

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