キュイジーヌ[S] ミッシェル トロワグロの料理は軽くシンプルで日本人の趣向に合ったものだった。それはもちろん子供の頃から来日経験のあるトロワグロ氏の趣向でもあるが、エグゼクティブシェフだったリオネル・ベカ氏の個性とも無縁ではなかったと思う。そのベカ氏がESqUISSE(エスキス)のエグゼクティブシェフに就任した。 トロワグロから離れ新天地でどのような料理を創るのか興味深い。
エスキス開店の知らせを聞いたのは誰からだったか。元トロワグロのシェフの店というので、近いうちに訪れようと思った。それからずいぶんと時間が経った頃、たまたま店の入ったビルの前を通りかかって、そろそろ行ってみようと本格的に思うようになった。
明るく清潔感のある店内はウッディな内装が爽やかな印象を与える。高級フレンチというよりは趣味のいいカフェのような雰囲気だ。テーブルの上にはデザインされたバターナイフなどが置かれている。細かいところまで抜け目がなく、それでいて気楽な雰囲気がいい。
グラスシャンパンはエグリ・ウーリエ(Egly-Ouriet)だった。コースにはグラスシャンパンやミネラルウォーター、そしてなんとお土産までがついている。
料理はポーションは少ないがひとつひとつが美しい盛り付けをされている。アペリティフは真っ黒なプレートの上に載せられていた。さくさくとしてシソの香りがする。タラバガニはアマランサスや香草などを用いて見た目にも美しい。
パンとデザートはロブションでパティシエを務めてきた方が担当しているだけにさすがにおいしかった。フロマージュブランと発酵バター、オーストラリアの塩が用意されていた。
オレンジの香りがする牡蠣、フォアグラのポワレ。フグのマリネはメネギとアーティチョークが添えられている。佐島の手長海老はリゾットとうるいの葉で挟まれている。キズをつけないように網で生け捕りした鴨は炭焼にしてクランベリーのソースを添えている。白トリュフと鴨のコンソメはきのこやシイタケの風味を感じた。
お口直しはクリームブリュレ。マール、ぶどうのアイス、サフランだ。酒がきいてて香りがいい。グラニースミスのタルトタタン、マールのアイスも出てきた。デザートは充実している。
夜のコースは18,000円と23,000円の2種類がある。(4/1からそれぞれ19,000円、24,000円に値上げするらしい)。ランチは10,000円、14,400円、18,400円の3種類だ。(4/1から11,000円、15,200円、19,200円)。皿数によって値段が変わり、ランチでは夜のコースをリーズナブルに提供している。グラスシャンパン、ミネラルウォーターとお土産もコースに含まれているとはいえ、それでもこの値段はちょっと高いかなと思う。僕らはランチだったので、18,400円のコースにした。これはディナーの23,000円のコースからチーズを除いたものだそうだ。料理の味や香り、彩のよさは印象に残った。
■店名:ESqUISSE(エスキス)
■住所:東京都中央区銀座5丁目4-6ロイヤルクリスタル銀座9F
■電話:03-5537-5580
■営業時間:ランチ12:00~13:00(L.O)、ディナー18:00~20:30(L.O)
■定休日:日曜日