四谷三丁目にあるパザパは、日本のビストロの歴史を作った店だ。メニューから前菜、メイン、デザートを選ぶ「プリフィックス」はこの店が元祖。さらに、この店で修業した方が独立をして、いくつもの店が有名店となっている。高田馬場のラミティエ、落合南長崎のエシャロット、それから閉店したけども、千石のプルミエ、護国寺のパ・マルなどなど。ブラッスリー・グーは孫弟子の店で、ル・マルカッサンはパ・マルの経営していたル・モガドーのシェフがその場所で独立した店。僕が気に入っているビストロのほとんどがパザパに源流がある。その総本山的な店なのだ。
荒木町の路地裏に溶け込むように佇む老舗ビストロ「パザパ」。赤いギンガムチェックのテーブルクロスもこの雰囲気によく合って、いい味を出している。名店中の名店ではあるが、正直に言うと、僕はラミティエやル・マルカッサンの方が好きだ。料理に手を抜かない姿勢や、徹底したサービス精神が心を打つからだろう。パザパはそういう料理人を多く輩出してきたというだけでも十分すぎる功績があると思う。
お店の人に聞くと、パザパ (pas-à-pas) という店名は、英語でstep by step、日本語で「一歩一歩」というような意味だそうだ。
■店名:パザパ
■住所:東京都新宿区舟町5
■電話:03-3357-7888