エジンバラでの最後の夜。長かったスコットランド旅行も、あと半日。ホテルに戻り、ほくとさんと顔を見合わせた。「どっか行きますか?」 どちらからでもなく、自然とそういう話になった。昼間ウドさんに聞いた、最近話題の「WHISKI(ウイスキー)」というバーがある。「WHISKI行きがてら、2~3軒寄りましょう」。酒飲みならではの、この会話。一週間ウイスキーばかり飲んでいる、この旅行のシメとしては軽めの飲み歩きだ。
教えてもらった通りにひたすら歩く。といっても、ホテルから10分も歩けば着いてしまう距離だ。坂を上ったところの交差点。夜はライトアップして綺麗だけど、こんな景色誰も見てない。みんな昼同様忙しなく歩く。この交差点を右に、というところで車が突っ込んでくる。いやいや突っ込んできたのはコッチの方だ。危うく赤信号を渡ろうとしていた。信号機が赤だか青だか、分かりづらい。しかもこの国、全員がゴードンのようにビュンビュン飛ばす。『スコットランドでは絶対に信号無視をしてはいけない!』 日本人に向けた、ウドさんの警告を思い出した。
陸橋の下は線路になっている。その屋根の向こう。城と屋敷がライトアップされて、夜空に浮かび上がって見える。この坂を上ると、いい感じのレストランが見えてきた。「ここにします?」「いや~」。既にたっぷりお土産を買っている我々の所持金では厳しそうな高級店だ。ここは通り過ぎて、予定通り「WHISKI」に向かう。
こちらが今話題の「WHISKI」。本場のバーとは、いったいどんなものなのか。扉を前にして、期待が膨らむ。思い切って中に入り、ざっと見渡してみる。みんなビールばかり飲んでいる。ここはパブか?
ほくとさんはカクテルを注文。これをモノサシに、エジンバラのバーを計りたいらしい。僕は無難に、ラフロイグ。カクテルはイヤに甘い。確かジャックローズか何かだったと思う。これがコチラで人気のバーだという。みんなビールをたらふく飲んで帰るだけなので、微妙な調合には興味がないらしい。銀座のレベルの高さをはっきりと感じた。アッチはミリ単位。コッチはビールかエールかを決断すればいい。
軽く飲んで、次に行こうとした時、バックバーに『山崎』を発見!「山崎、見せて!日本人」みたいなテキトウな単語の羅列がちゃんと通じる。「そっか、おまえら日本から来たのか」と少しおしゃべりした。パブならではの気軽な会話がいい。東京でもエジンバラでも、大切なのは店の「空気」なのだと納得して次に向かう。
■店名:WHISKI BAR&RESTAURANT
次は同じ通りにあるバー。店の前まで人が溢れるほどの人気ぶり。これは普通じゃない。店名は『THE MITRE BAR』。ウドさんによると、ここも最近人気の店。
ここではマッカラン。もう酒はウイスキーそのままでもらう。カクテルは東京に戻ってじっくり味わおう。
わいわいガヤガヤと店内は騒がしく、居心地がいい。店員は忙しく、せまい通路を客にぶつかりながら物を運ぶ。客も歩き回り、店員も行きかう。おまけに途中に段差があって、転びそうになる。どんな店だ。
どの客も大勢で楽しそうに飲んでいる。ここもすごい酒場だ!またあの「空気」に包まれて、ウイスキーを流し込む。さて、次に行こう。
■店名:THE MITRE BAR
行きに「高級過ぎるでしょ?」「う~~ん」と迷いつつ敬遠した、あの店の前まで戻ってきた。今度は例によって、さっきより気持ちがずっと大きくなっている。「行こう、行こう、最終日だからなんとかなる!」と中へ。
ひゃー、レストランだ。しかも高級!細工が施された内装が客を遠ざける。この造りからして、明らかにバーではない。よし、『山崎』一杯だけ飲んで帰ろう。こちらでも高級なウイスキー『山崎』は、それなりの場所に置いてある。
Home made 8oz ground beef burger,Gruyere cheese,onion marmalade,rosemary & tomato mayonnaise,hand cut chips
もう一杯飲んでさらに気持ちが大きくなる。「ハンバーガーあるよ。ここでこれを食べなきゃ、何のためにブログやってんだか」とかなんとか自分を鼓舞して追加注文。たぶん「自家製8オンス挽き肉バーガー」みたいな意味。この時間にこのボリューム。普通は食べない。でもこの日はスイッチが入って、この後ラーメン屋を探しまわる。今回の旅行でも、行く先々でラーメン屋を探した。ところが「似たような店」すら一軒もない。イギリスにラーメン屋はないのかもしれない。JALPAK企画はじまって以来の惨事だ。
■店名:THE SCOTSMAN North Bridge