ブノワで開かれたフードフランス”ビストロ”の記者発表会。今年は着席ディナーで開催されました。フードフランスは、フランスの各地方からアラン・デュカス氏に選ばれたシェフを日本に招き、地元の伝統料理に基づいた今のフランス料理を紹介する企画。メディアから見落とされがちな地方で活躍する若く才能あるシェフを応援する目的で、2006年から開催されています。
今年もフードフランス “ビストロ” と題し、伝統的なビストロやビストロ・ヌーボーと呼ばれる新しいスタイルの店まで、アラン・デュカス氏が選んだ6 軒が参加します。有名シェフがプロデュースするビストロが4 軒、今話題の若手シェフのビストロが2 軒。高級レストランのフレンチとは一味違う、地元の伝統的な料理を手頃な価格で食べることができます。
日本でもすっかり有名になった狐野扶実子さん。時々レセプションで一緒になります。最近はテレビで見ることが多くなりました。元々有名な方ですが、日本でも知名度が上がっているようです。
まずは「夏野菜のファルシ ニース風」。色鮮やかで質感のあるビストロらしい料理。熱くなく冷たくない微妙な温度は、妙に落ち着きます。トマトは縦に切ろうとすると、中からジュースが溢れて、身がほどけるように流れる。このジュースを逃すまいと、パンですくって食べます。ビストロに来て、よかったなと思うのは、こういうきれいにまとめられた田舎料理が楽しめるからです。
最先端のフレンチは「人間が作り上げる」ことに対する気概を感じますが、ビストロフードは素材の形そのままに、伝統的な家庭料理がベースにあるように思います。僕は最近、何軒もビストロに行っています。ビストロ料理がフランスの伝統料理を髣髴とさせるからです。その感覚を味わいたくて、今年はビストロにはまっています。
「帆立貝と車海老のスナッケ 白いんげん豆の煮込み」は、旨味がたっぷりな一皿。運ばれて来た時に、車海老の香ばしさが周囲に広がりました。
「地鶏のフリカッセ ビネガー風味 マカロニグラタン」は、真空調理された地鶏。60℃を超えるとたんぱく質が固まるので、59℃に保って丁寧に火入れされています。肉を切ってみると、中は綺麗なピンク色。狙い通りの完璧な状態に仕上がっていました。
デザートは「ババ アルマニャック クリーム」。まずはババがお皿にごろんと置かれて、一つずつ切ってくれます。それにアルマニャックをかける。アルマニャックとは、フランスのアルマニャック地方で醸造されるブランデー。これをよく浸みこませてから、クリームをつけて食べます。最後にコーヒーとマドレーヌで終了。非常にシンプルで無駄のないコースです。この分かりやすさがビストロの魅力ではないでしょうか。
この日は20種類以上のワインが振舞われました。別室ではその全てを飲むことができます。食後はその部屋に移動して、自由にワインを飲むことができました。即興のワイン講座は個人レッスン。最後までとても楽しい時間でした。この楽しさ、自由な雰囲気、大胆かつ繊細な料理。これがビストロらしさだと改めて感じました。
昨年、フードフランス”ビストロ”でグレゴリー・クータンソーさんが来たとき、ブノワに食べに行きました。日本人の味覚に合わせない、本場そのままのフランス料理。それを日本で食べることができる数少ない機会だと思います。インパクトがあって質の高い料理でしたが、最後に出てきたステーキには驚きました。日本人では完食が難しいほどのボリュームのあるコース。味付けも日本人向けにしないところが逆に嬉しい。僕にとってフードフランスは、年に1度の楽しみなイベントです。フランスの地方にある人気ビストロが日本にやってきます。せっかくの機会です。本場のビストロを体験してみてはいかがでしょうか。
■概要
【特別協賛】
プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社
ダイナースクラブ(シティカードジャパン株式会社)
【大阪】
2011年7月14日(木)~19日(火)
・アラン・デュカスのレッシュ (パリ)
1925年創業の魚介専門のこのビストロ。2007年よりアラン・デュカスがプロデュース。
2011年11月10日(木)~15日(火)
・グザヴィエ・イザバルのイチュリア ・ コテ ・ ビストロ (バスク地方)
バスク地方ピレネー山脈の麓にある。バスク名物のピマン・デスぺレット(唐辛子)を始め、アンチョビ、バイヨンヌの生ハム、ピレネー産の仔羊などこだわりの地元食材を使用。
■ル・コントワール・ド・ブノワ
■住所:大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼブリーゼ33階
■電話:06-6345-4388
【東京】
2011年9月22日(木) ~27日(火)
・ギィ・サヴォワのラトリエ ・ ド ・ メートル ・ アルベール (パリ)
3ツ星シェフ、ギィ・サヴォワが手がけるロティスリー(ロースト料理専門店)。肉や魚のローストの中でも常連客がパリ 1番と太鼓板を押す。
2011年11月17日(木)~22日(火)
・ミッシェル・シャブランのル ・ビストロ ・デ ・ クレール (ローヌ・アルプ地方)
ミシュラン1ツ星シェフ、ミッシェル・シャブランがプロデュース。
2012年1月19日(木)~24日(火)
・オリヴィエ・ナスティのラ ・ ヴィンスチュブ ・ デュ ・ シャンバール (アルザス地方)
“ヴィンステュブ”はアルザス語で、いわば “ワインやビールと共に、ボリュームたっぷりのアルザス料理を食べさせる店”。地元の食材を多用した伝統的なアルザス料理とリースリングワインの酸味が織りなす絶妙な味わいは、MOF(国家最優秀職人資格)シェフならでは。
2012年3月1日(木)~6日(火)
・ジョルジュ・ブランのランシエンヌ ・ オーベルジュ (ローヌ・アルプ地方)
伝説的シェフ、ジョルジュ・ブランのビストロ。ブロシェ(川カマス)のクネル・ナンチュアソース、ドンブ産蛙のソテー、ブレス鶏のクリーム煮など不動の人気メニューが世界中からのVIPを魅了している。
【料金】
■ランチ プリフィックスメニュー
3,600円 / 4,800円 / 6,000円 (消費税・サービス料込み)
■ディナー プリフィックスメニュー
6,000円 / 7,200円 / 8,400円 (消費税・サービス料込み)
*食後のコーヒーまたは紅茶が含まれます。
【昨年の様子】
フードフランス “ビストロ” ブノワ 青山
■ビストロ ブノワ(BENOIT)
■住所:東京都渋谷区神宮前5-51-8ラ・ポルト青山10階
■電話: 03-6419-4181
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