福岡 瓦そば こぐれ

うどん そば 丼もの

次の日はお盆なので友人宅に出掛けた。その途中、妙に瓦そばが食べたくなって、兄に教えてもらった店に寄ることにした。第1候補の店は休みだったので、第2候補の店へ。福岡県田川郡香春町にある「味の茶屋 こぐれ」という店だ。これで「かわら」と読む。何かのパンフレットで「瓦そばの郷香春町」とあるのを目にしたが、シャレではなく、実際瓦そばを出す店がいくつもあるらしい。以前行ったことのある山小屋ラーメン本店があった場所の隣の店だった。
瓦そば
名物瓦そば1,100円(1人前)写真は2人前(2,200円)
「味の茶屋 こぐれ」は創業46年になるという。トンネルを抜けたすぐ近くにある峠の茶屋のような店だ。田舎は車社会なのでこういう店がよくある。移動中に見掛ける幹線道路沿いの飲食店はどこも魅力的にみえる。こぐれは、瓦そば、うなぎ、すっぽん料理の専門店。うなぎやすっぽん料理もおいしそうだが、もちろん瓦そば1,050円を注文した。
瓦そば(かわらそば)は、山口県の下関の郷土料理。熱した瓦の上に茶そばと具をのせて食べる。元祖は「瓦そば たかせ」という店で、川棚温泉のホテルなどが名物として広めた。小さい頃、川棚温泉のホテルのテレビコマーシャルで瓦そばが大々的に宣伝されていたのを思い出す。元祖の「瓦そば たかせ」のHPによると、「明治十年、西南の役において熊本城を囲む薩軍の兵士たちは、長い野戦の合間に瓦を用いて野草、肉などを焼いて食べたという古老の話にヒントを得て、弊店創立者、高瀬慎一が数十年を経過した日本瓦を用い、弊店独自の製法にて開発いたしました雅味豊かな茶そばに、牛肉、錦糸卵、海苔、もみじおろし、レモンなどを配し、これも又、弊店独自のつゆを添えて「瓦そば」と名付け供したるところ、大方の絶賛を得て広く各地よりご来店賜るところとなりました」。
なるほど。ここまで書いてくれれば付け加えることはない。で、これが評判を呼び、川棚温泉の名物になった。ついでに香春町の名物でもあるらしいが、その由来は定かではない。たぶん読みが同じとかそんなところだろう。瓦そばを出す店が昔からいくつかはあったんだろうけど、「瓦そばの郷」というのは町おこしの意味合いの方が強そうだ。
というか香春町はそんなものに頼らなくても、かなり歴史のある町だ。風土紀や万葉集にも出てくるし、香春神社は神代の天皇家との関係も深いという。九州にはこういう古い土地が多いが、香春は昔から銅が採れたりしたので(東大寺大仏建立にも香春の銅が使われた)特別な存在だったのだろう。五木寛之の小説『青春の門』の舞台としても知られているし、今更「瓦そばの郷香春町」などと小さくまとまっていいものかと若干疑問に思わなくもない。
茶そば
茶そば700円
15分くらい待っただろうか、熱々のデカい瓦が運ばれてきた。これがテーブルに置かれるとずいぶんと迫力がある。お店の人がテーブルに置いたときもゴツンという皿にあるまじき激しい音がした。かなり重そうだ。瓦そばの魅力は熱々の瓦、カリカリになった茶そばと肉、もみじおろしなどだろうか。味はどこもそんなに変わらない。見た目と迫力、そしてこの臨場感がいい。目の前に置かれたこの熱々のデカイ物体。顔の前なので、とにかく熱い。でもこの熱さがうまさの秘訣だろう。ハフハフしながらあっという間に平らげた。こんな食べ物があるから地方は面白い。
まだ川棚温泉で瓦そばを食べたことがない。いや、小さい頃食べたかもしれないが全く記憶にない。「こぐれ」の瓦そばが予想以上によかったので、次は本場で!という色気が出てきた。近いうちに実現したいと思う。

■店名:味の茶屋 こぐれ
■住所:福岡県田川郡香春町鏡山1533-2
■電話:0947-32-3960
■営業時間:11:00~22:00
■定休日:第1、第3、第5水曜日

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