井のなか 錦糸町 4

居酒屋

都内の居酒屋巡りは面白い。100年以上の歴史があって、いまだにお父さんたちの憩いの場となっている店もあれば、地方の地酒を幅広く取り扱うマニア向けの店もある。特に面白いのは、店主のこだわりを前面に押し出した店。そういう店には、店主に共鳴するこだわりのある客が集まる。錦糸町の「井のなか」はそういう居酒屋の筆頭だ。和風居酒屋は数あれど、井のなかほど酒、料理の両面が充実している居酒屋は少ない。
井のなか 前菜
刺身
井のなかには、いろんな人と行った。この店は特に常連さんと行くと、面白い料理を出してくれる。それを知っている人たちが「常連さんが予約をしてくれたよ」と、誘ってくれる。で、行ってみると、知っている人ばかりが集まっていたりする。他のオフ会などで知り合った人が、井のなかの常連であることを後で知ることも多い。いろんな場面で出会った人たちと、結局井のなかで再会する。不思議な感覚だ。
小皿に少しずつ入った前菜は、和食というよりはイタリアンの面持ち。井のなかの料理は、和食とイタリアンの中間を狙っている。名物の前菜を食べるとそのことがよく分かる。はじめての人は、この前菜でたいてい井のなかのファンになる。そして、これをつまみながら飲む酒のうまいこと。これだけでも最高に幸せな気分になるのだが、井のなかはこの後がすごい。
井のなか 酒
井のなか 酒
井のなかといえば、燗酒。どんな銘柄でも、店主工藤さんのお任せで、絶妙な温度につけてくれる。銘柄のラインナップはその日によって違うが、竹鶴はいつも珍しいものが置いてある。この日は竹鶴の「秘傳」というのがあった。僕が行くときはいつも、料理はおまかせにしてもらっている。お酒も料理と合わせて、適当に出してもらうことが多い。いつも満席で非常に忙しい店だが、お酒のケアはきっちりとやってくれるのが嬉しい。
大好きな雄町の酒もあった。「成政」の山廃、これもお願いした。他にこの日飲んだものといえば、「かるくいっぱい」という面白いにごり酒、陸奥の「八仙」、「鮎川」、「竹泉」など。日本酒好きが集まると、酒の話もはずむ。井のなかのお客さんは、どうしてこうも日本酒に詳しいのだろう。この日のメンバーも日本酒マニアばかりだ。
井のなか オーブン焼き
井のなか パスタ
井のなか オーブン焼き
井のなかは、常連さんが予約すると、いつも大掛かりな料理を最後に用意してくれている。この日のメインは何時間もオーブンに入っていた。前回は「ヤギと羊のオーブン焼き」だった。喜界島のヤギと長野産の羊を6時間かけて焼いたもの。あれは絶品だった。今回は鶏。同じくオーブン焼きだ。周りに配されたパスタと一緒に、肉を崩しながら食べる。鶏を崩すと中から米が出てきた。米とパスタを鶏で食す。不思議な感覚だ。これだから井のなかはやめられない。料理の腕は毎回上がっているように思う。燗はすでに達人の域だ。これから東京を代表する居酒屋になっていく店。いや既にトップを走り続けているのではないか。
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井のなか 錦糸町 3
井のなか@錦糸町 のむのむ会!
井のなか@錦糸町
■店名:井のなか
■住所:東京都墨田区錦糸2-5-2
■電話:03-3622-1715
■営業時間:17:00~23:30
■定休日:日曜日・祝日

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