いい飲み屋を見つけては誘ってくれる編集者の岡部敬史さん。最近TVなどでも活躍している「こども女将」こごまちゃん(とお母さん、ごまさん)の店「酒ごはん屋 あかね雲」の予約がとれたということで声を掛けてもらった。きっかけは岡部さんが『こごまの舌 料理の英才教育』(扶桑社)という本を出したというお仕事上のつながり。ただ、この店はかなりいい日本酒を揃えていて、料理にもこだわりがあるという。お店自体は3月に高円寺に移転するのだが、今回は荻窪の店舗。ここではこれが最初で最後になりそうだ。
集合時間に店の前に着くと、店先で岡部さんの悲鳴が聞こえた。「うっわー。これは・・・・・・」。ショックで絶句している岡部さんにいちおう新年のご挨拶。で、よく見ると店の中が真っ暗で営業している気配はない。シャッターが半分上がっているところを見る限り、営業する気はあるような気はする。でも開店時間過ぎても開いてないってことは、やはり予約を取り違えたのだろうか。あわてて、ごまさんに電話する岡部さん。他の参加者は近くに目ぼしい店がないか携帯で探したり周辺の散策をはじめている。程なくごまさんに電話がつながり、少し遅れて開店することが判明。いやいや、こういうことははじめてなので少々あせったが、どうやら無事に始められそうだ。
店内はカウンター中心の小さなつくり。vindens cafe(ヴィンデンスカフェ)というカフェの店舗を借りて営業している。小さなカウンターは距離感が近く、ごまさんと喋りながらお酒が飲めるのは楽しい。ごまさんはすごく美人でしかもかなりのお酒好き。都内の有名な居酒屋はほとんど行っているようなのん兵衛なのだ。佐渡の女性はみんなこんな感じなのだろうか。
料理は有機野菜など素材にこだわっている。「体と心に優しく、お酒に合うお料理」を目指しているそうだ。確かにピカピカの硬い料理ではなく、やさしく身体にすっと入ってくるような家庭料理が多い。これは居酒屋としては大切なこと。こういう料理だからこそほっとするのだと思う。
酒は珍しいものがいろいろと揃っている。ごまさんの出身地新潟佐渡の酒、真野鶴の万穂、羽前白梅 つや姫 俵雪、穏(おだやか) 十八代、東光、楯野川、風の森、独楽蔵、三芳菊、生もとのどぶ 純米にごり。この日お気に入りだったのは風の森 無濾過無加水、穏十八代など。穏はちっとも「おだやか」でないどっしりとした酒だった。化学肥料を極力使わずに栽培した米を使用しているそうで、そのへんが「おだやか」ということか。
料理はおまかせでおいしいものがじゃんじゃん出てくる。お酒も飲み放題なのでかなり飲んでしまう。でも注意をしなければいけないのは、これだけいい酒がそろっているにもかかわらず、酔ってはいけないというルールがあることだ。当然その判断はお店側が下すことになる。酔っていると判断されたらその時点で終了。「自己申告は受け付けませんので悪しいからず」とのこと。厳しいルールだが要するにキレイに飲んで欲しいということだろう。
こども女将こごまちゃんは小学生ながら数々の料理コンテストで優勝した経歴がある。TVチャンピオン小学生料理王選手権で優勝したり、スター★ドラフト会議という番組で話題になったりと、今では各本面でひっぱりだこの人気者だ。今回岡部さんが作った本は「こごまちゃん」のおかあさん「ごまさん」の子育て本。3歳で包丁を握ったごまちゃんのやる気を引き出すために心がけたことについて綴った本だという。未来の「女魯山人」はどう育ったか、将来貴重な資料になるかもしれない。
■店名:酒ごはん屋 あかね雲
■住所:東京都杉並区天沼3-10-17-102
■電話:03-6479-3259
■営業時間:19:30頃~23:30
■定休日:不定休
※2012年3月に「杉並区高円寺南2-19-22」に移転。
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